The Lunarians

ゼロムスを滅ぼしてから魔導船に戻って着た一行は、一息ついた。
月からゼロムスの気配が消えたことはどこにいても感じ取れたし、ハミングウェイ達も心なしか以前より明るい音色で歌っている。
「フースーヤに報告しないとね」
「そうだな」
これから自分達の星に戻る。その前に彼らにはやらなければいけないことがあった。
星に戻ったらこの魔導船を封印しなければいけないから、今出来ることは今しか出来ないことだ。
リディアはちょっと控えめに口を挟んだ。
「セシル、わたし、バハムートのところに行きたいの」
エッジの眉がぴくりと動いた。正直いうとエッジはあまりバハムートのことをよく思っていない。幻獣神に妬くなんて自分でもどうかしていると思うけれど、バハムートとリディアの間には彼にはわからない不思議な結束がある。
それを実は感受性が強いエッジは誰よりも嗅ぎつけているのだ。
「バハムートのところか・・・。」
「確かにな。月に来てからと言うもの、バハムートの力をよく借りていたし・・・もう、僕らの星に帰ったら幻界にいる幻獣とは違って合えなくなるものな」
そうセシルがいうとリディアは寂しそうに笑った。
5人で話し合った結果、セシルとローザ、カインはフースーヤのところに行き、リディアとエッジはバハムートの洞窟へと別行動をすることに決めて、とりあえず二人を幻獣神の洞窟の入り口に魔導船でおとしていくことにした。
リディアは何故か最初はエッジと一緒にいくことが嫌な素振りをみせていたけれど、みんな勝手に誤解してリディアがエッジと二人きりになることを恥かしがっているのだと思っていた。セシル達はさっさとエッジがはっきりリディアに告白すればいいのに、と応援隊だったからそのリディアの嫌がり方がちょっといつもと違うことに気付かなかった。
なんだかすべてが終わってしまったことが嘘のようで、彼ら5人はなんだかぴりっとしない。
旅の終わりが来ることはわかっていたが、いざ来て見るとなんだか嬉しいような寂しいような妙な気分だ。

「お前、星に戻ったらどうするんだ」
「幻界に行こうと思って」
「・・・マジかよ。」
洞窟の奥へ進みながらエッジはリディアに話しかけた。なかなか二人になることもままならないし、もともと実は照れ屋のエッジにとって、リディアに告白するのはとても勇気がいることだ。
「なんで?おかしくないでしょ」
「だって、俺はよくわかんねーけど・・・あそこは時間の流れが違うんだろ。お前、またさっさと年とっちまうんじゃねえの?」
「何言ってるの。お礼言いにいくだけじゃない。」
くすくすとリディアは笑う。何を変な心配をしているんだ、という様子だ。
ひんやりとした洞窟では前はベヒーモスが暴れていたけれど、今は群れをなしておとなしくしている。それを発見して彼らモンスターもゼロムスの黒い気に影響を受けていたのだな、と二人は驚いた。
かなり重装備で、アイテムはほとんどセシル達から預かってきていたから二人は拍子抜けしたほどだ。
エッジにとっては、ゆっくりリディアと話が出来るのでありがたいのだが。
「エッジは王様になるんでしょ」
「あー、まあな。エブラーナの跡取りはもう俺しかいないし、民が俺を待ってるだろう。」
「いい王様になってね。」
「・・・お前、それは・・・」
エッジは立ち止まる。
「どうしたの?」
「・・・いや。お前は、本当に残酷な女だなと思って」
右肩を軽くあげ、エッジは苦笑した。いい王様になってね。その言葉は、彼が即位するときにリディアは彼の側にいないということを現している。彼女に邪気がなければないほど、それはどれほどエッジには残酷なことか。
「お前、一緒にこいよ。エブラーナに」
「いやよ」
「なんで」
「エブラーナにいって、どうするの」
「俺が養ってやる」
きっぱりといって、それからエッジは自分でかあっと赤くなった。
俺が養ってやる。
なんだか、自分らしくないことを口に出してしまった。
「っていうか・・・その、第一幻界から戻ったらお前、どうすんだよ」
「わからないけど・・・暮らしやすそうな町にいこうかなと思って。ミシディアなんかでもいいね。」
「お前、行くところないんだろうが。だったら、人の好意を受け入れろよ」
「ほら、早くいこうよ、そんなことどうでもいいじゃない。」
「よくねーだろ」
先に歩いていこうとするリディアの手をエッジは掴んだ。
驚いてリディアは振り向く。
「よくねーだろ。お前は、一人で生きていくのかよ」
「そんなのわかんないよ」
「なんで、俺の側にいてくれねーんだよ」
「エッジ?」
「俺が即位するとかしないとかはどうだっていいんだよ。そっちこそどーでもいいことだ。俺がエブラーナにいることは間違いないことなんだから。お前が、俺の側にいないってことが問題だっつってんだよ!」
リディアは目を見開いて、真剣な眼差しのエッジを見つめた。
エッジはリディアの手をぎゅ、と握って1歩前に出た。
「離してよ」
リディアがその手をどけようとする。エッジはやれやれ、と手を放してやった。
「お前は、どうなんだよ。問題じゃねえのかよ」
「・・・エッジ・・・それは・・・」
リディアの目は少し潤んでいるようにエッジには見えた。
「エッジが、あたしのこと好きっていうことなのかなあ?」
「・・・・何今まで聞いてんだよ!お前は!!」
が、それは気のせいだったようだ。

洞窟の奥にはバハムートが付き人を二人従えて、いつもと同じくフードのついたマントに身を包んで立っていた。
リヴァイアサンやアスラと違って、バハムートは人間の若い形態で実体化している。
それがうさんくさい、とエッジは思っていたけれど、リディアはそれがどうしてなのかを知っていた。
遠い昔、バハムートが心を動かされた人間がいたという。
その人間を恐がらせないよう、自分の身分を悟られないようにその若い姿で実体化をして、親睦を深めていたという。
が、その人間はもはやここにはいない。
それでも、バハムートにとってその人間は、今までの永く永く続いた時間の中で唯一の者として彼のすべてに対して君臨していた。
だから、彼はその姿で待っていた。もう2度とその人間と会えないことはわかっていても。
リディアが来たとき、バハムートは自分が待ちつづけていたその人間が来たのではないかと思ったそうだ。
そんな話は、誰にするでもない。リディアも誰にも言わずに黙っていた。
誰よりもリディアは、幻獣にも人間と同じ心があるとしっていて、そうでありながら時と空間を超えて生きることがどれだけ辛くてせつないことなのかを思って悲しくもなる。バハムートが幻獣神だからといって違いがあるとは思えないのだ。
「来たか、愛しい娘よ」
笑ってはいないけれど、その声音は柔らかかった。厳格な幻獣神でもこんな声を出すのか、というほど優しい声。
リディアは警戒もしないで小走りで近づいた。付き人がそっと後ろに下がる。
「バハムート、終わったよ!」
がーん。
エッジの目の前でバハムートはリディアを抱き締めた。エッジは愕然としてまばたきを忘れてそれを見ている。
「ちょ、ちょ、ちょっと、待て!お前、俺が手え触るのはダメで、なんでバハムートはいいんだ!!!」
「だって、エッジはさー」
バハムートはとくに感情が動かない様子でエッジの方を見るだけだ。リディアはちょっと不満そうに
「手、触るだけじゃ物足りなさそうなオーラが出てるんだモン・・・」
「・・・てーめーー・・・当たり前だろうが。好きな女と毎日毎日同じ船ん中いりゃあそうもなるってもんだ!」
「バハムートはそんなのないもん」
ぷいっとそっぽをむいてリディアはバハムートにくっついたままだ。
「当り前だろ!そいつは竜じゃねーか!げ、ん、じゅ、う、だろ!俺は人間なの、に、ん、げ、ん!バハムート!お前も
いつまでも人の女抱いてないで離れろよ!」
「わたし、エッジの女だったの?」
「そーなってくれ、ってさっきから言ってるだろうが!」
バハムートはまったく気にしないでエッジに言う。
「気になるのか。」
「なる!」
「わたしは幻獣なのに、気になるのか」
「ぐ・・・」
そう言われては言い返せない。エッジは困ってしまう。已然としてバハムートはなんの気持ちも動かないような顔でそっとリディアを放した。
「気になる。だって、あんたは一応その、女じゃねえだろ。それだけで気になる」
「おもしろいことを言う」
「だって、リヴァイアサンとアスラって夫婦なんだろうよ。幻獣だってそういう、なんだ、結婚、とかそういうの、あるんだろ」
「そのようだ」
人事のようにバハムートは言った。その声音がちょっと楽しそうなことにリディアは気づく。
「じゃあ、とりあえずメスだか女だかじゃないあんたに自分が大事に思ってる女が抱かれてれば妬いて当たり前だろ」
「ふむ。おもしろいことを言うな、お前の男は」
バハムートはそういってリディアを見た。
「別にリディアの男じゃないもの」
と、またまたつれないことをいう。けれどそのリディアもいうほどイヤそうな素振りは見せない。
ちょっとしたお付き合いはこれまでだ、とバハムートは厳格な表情で二人を見た。
「で、ここに来た用件は一体なんなのだ」
「ゼロムスを倒すのに、力を貸してくれてありがとう。」
「ああ。私をお前は召喚してくれたな。」
「バハムートが何度も来てくれて、助かったわ」
「礼には及ばぬ。月が・・・静かになった。もともとここは、ハミングウェイ達の美しい声が時折星じゅうを駆け巡り、私をなごませてくれたものだった。また、その時間に戻ることが出来て感謝している。」
エッジはちょっと不機嫌そうに
「あんたが、ゼロムスをなんで野放しにしていたんだ。あんたくらいの力があれば、一人でもゼロムスを倒せたんじゃないのか」
「野放し?何を言っているのだ、お前は。我々幻獣はなんぴとたりと己の意志で生物の命を奪ったりはしない。」
「やめて、バハムート!」
リディアが叫んだ。しかしバハムートは止めなかった。エッジに静かに言い聞かせるように一言一言ゆっくりと告げる。
「ただ、それだけだ。我々は、我々の力を欲しているものがいるから生きてゆくことが出来る。だから、そのものから召喚されたそのときだけ、生物の命をおびやかす力を放出しているに過ぎない」
ただ、それだけだとバハムートは言った。
リディアは小さくうなだれている。
それは逆を言えば、リディアが召喚するから生物を殺す力を発揮するのだ、リディアが呼ばなければなにを殺すこともない、ということだ。
エッジはそれに気づいてリディアを見た。
多分、幻界にいってから、その理をリディアは知っていたのだろう。
「ば・・・かか、お前・・・」
「えっ?」
「本当は、イヤなくせに、なんで言わないんだよ。イヤだったんだろ、本当は」
「・・・そんなことないもん。」
それは否定するには弱い言葉だった。口にした途端に嘘になる言葉だ。
エッジはバハムートに視線を移した。
「それでも、あんたは・・・召喚するリディアが苦しくても、それを受け入れていたっていうのかよ」
その視線はとても厳しい。別にエッジが怒る筋合いはないのだが、このままでは納得がどうもいかない。
「それはリディアが決めることだ。・・・我々幻獣は、誰かに信じてもらわなければ、誰かに呼ばれなければ生きている意味も存在すらも見出すことが出来ない、そうだな・・・本当は下等な生物だ。生命を奪う奪わないの倫理はお前達人間が勝手に決めることで、我々は召喚してもらい、その力を生かす場を与えてくれる召喚士に一生のうちに会えたということが、他の生物の生命の保護よりも大切なのだ」
その道理はエッジにはわからなかった。
けれど、勘がするどい彼はバハムートが言っていることが何らかの詭弁で、彼の本音は他の場所にあるのではないかと独自の嗅覚を働かせている。
「それも、違う。あんたがいくらリディアを愛しく思っていて、こいつを楽にさせてやりたいからって幻獣の道理を言われても、本当はそうじゃないって俺にだってわかる。・・・でも、いいや、そういうことにしておきたいんだったら。俺はもう何も言わない。終わったことだしな。」
そういってエッジはバハムートに背を向けて入口方面に歩き出した。
「エッジ?」
「好きなだけ別れでも惜しんでこいよ。俺がいない方が話せることがあるんだろう。・・・しゃーねーよ。俺はお前らとは違う。生きている以上、誰かが何かのために他の生物を殺すのはどんなに正当化したってそんなのは、罪なんだ。どんなにそれが目をそむけたくてもな。お互いにそれを仕方ないことだったんだ、なんて思いこまなきゃいけないんだろ、お前らは。俺はごめんだ。」
リディアは息を飲んだ。
「ベヒーモス、見ただろ。あいつらだって、本当はなんてことない体が大きくていびつなだけの生物だ。どんなにゼロムスの影響だったからって、俺達はやつらだって何体も殺した。そんなのは・・・なんの栄光があったって、なかったことにはならねーんだ。俺が、おやじとおふくろを・・・殺しちまったことだってな。」

「お前の男は、思ったよりも聡明なようだ」
リディアは何も言わない。
ほろほろと涙をこぼして座りこんでいる。
選んだ道だ。初めはもっと単純なことだった。あの頃リディアはセシルが好きだったから、セシルの役にたちたかった。
彼女にあった能力は召喚と黒魔法だった。
幻獣達が本来生命を奪う行為を自分達からすることがないと知っていて、それでもリディアは彼らの力を借りるしか出来なかった。
「どうして、止められなかったんだろうね」
「お前の体には、母親から譲り受けた生命のらせんがある。そこには、止めることがない我々との共存のための約束事が書き記されている。・・・ただ、それだけだ。お前はそれを守って、人間と人間の争いで我々を呼ぶことはなかったではないか。そうであれば・・・我々が幾多の生命を奪ったところで、それはお前の罪ではない」
「違うの、バハムート。確かに、それも、悪いことなんだって知ってるけど、私が思ってるのは・・・」
「我々の手を汚させた、ということだろう。だから、それは意味がない。我々の倫理では、それは罪ではないのだから」
ぶるぶる、とリディアは首を横にふった。
「エッジの言う通りなの、本当に。だって、私はどんなにみんなに幻界で受け入れられたって人間で・・・」
バハムートは透き通る金色の瞳でリディアをみつめた。
「ホントはわたし、人間でいるのは嫌だったの。いつだって人間は自分のために人間と争うから。でも」
そうっとバハムートの服の裾を掴んでリディアは激白した。
「人間だったから、こんなに深くあなたたちに選ばれて、愛してもらってるってわたしはもう知っている!」
「愛しい娘よ。そうだ、お前は、もう知っている。」
バハムートはリディアを再度抱き締め、子供をあやすように頭をなでた。
「どんなに人間の愚かさを嫌おうと、どんなに人間界から離れて生きようと、本当は・・・我々幻獣は、もっとも人間を愛している生物なのだ。」
何故ならば。
バハムートが先ほど口にしたように、自分を必要としてくれる召喚士にめぐりあえることが至上の喜びなのだ。
それは、まるで一生を添い遂げる伴侶をみつけたような気持ちなのだろう。
たとえその一生が人間の何十何百倍と永いとしても・・・。
リディアは泣きつづけた。胸が痛い。体の奥がひきつれるようでこんなに心の悲しみが体をも支配するとは知らなかった。
エッジが感じていた妙な結束があるという予感は当っていた。
今、リディアは最も彼女を深く愛して、彼女に召喚されることを生きている喜びにまで昇華させた幻獣神と一生の別れを告げようとしているのだ。
またバハムートは待ちつづけるのだろうか。もはや、誰も魔導船を操って辿り着くことがないこの地で。

「エッジ、バハムートが呼んでるよ」
目と鼻を真っ赤にしてリディアはエッジを呼びに来た。
一人で洞窟の壁際に座って静かに生息しているモンスター達をエッジは眺めていた。
「みろよ、リディ、ベヒーモスにも子供なんてもんがいやがるぜ」
「あ、本当だ」
「・・・全然可愛くないけどな。」
くす、と笑うリディア。エッジは腰をあげてバハムートが待つところへ歩いていった。
「なんだ、俺に用があんのかよ」
「用というほどのことではない。が・・・。」
そこで一旦言葉を切る。
「我々の娘を・・・・守ってくれ。もう、我々が守ることはないのだから。」
その言葉はしん、としずまった洞窟内に響いた。
不思議とその音(何故だかエッジには声、というイメージがしなかった)は揺るがない決意にも似ていて、エッジの心を強く揺さぶった。
「ああ・・・あいつが、許してくれるなら。」
小さく笑みを漏らす。
「元気でな、バハムート。俺はあんたのことは好きじゃなかったけれど・・・すげえやつだと思ってたよ。」
「それは褒め言葉なのだな。」
「そうだ」
「お前も、見た目ほど頭は悪くないようで驚いた」
「一言余計なんだよ、この竜は!」
エッジはそう吠えると、それ以上何も言わないでバハムートに背をむける。
「リディア、いくぞ」
「・・・うん」
バハムートが静かに言った。
「お前達が、幸せでいることをいつでも祈っていよう」
リディアの目はバハムートに釘付けになっていた。
もう一生呼ぶことがなく、会う事がないだろう彼女の罪を全て引きうけた竜に。

手をつないで歩いていた。
エッジの手は大きくて、リディアの手をすっぽり包んでしまう。ちょっと後ろから小走りでエッジの速度に合わせて慌て気味のリディアがちょっとだけ息を荒くしながら言う。
「エッジ・・・あの・・・」
「ん?」
「・・・もう言わないで」
「何をだ」
「・・・お前とは違う、なんて・・・言わないで」
エッジはぎゅ、とリディアを見ないで手を握った。
「言わない。違わない。ごめん、許してくれ。二度といわない。」
「わたし、たまに自分が人間でも幻獣でもないモノのような気がするの。違うって、言わないで。」
「言わない。お前は人間だろ。・・・もし、人間じゃないモノでも俺には関係ないけどな。・・・・わかってたんだよな。俺が怒ること。」
リディアはエッジに後ろから飛びついた。
「エッジ、わたしのこと嫌いになると思ったから。そしたら、すごい悲しくて。」
「バカ。余計な心配するな。・・・そんな心配はいらねーよ。なんてったって、俺はお前がセシルのこと好きだったって知ってたって惚れちまった馬鹿な男なんだから。お前は心配しなくていいんだ。」
エッジはとびついたリディアの手をそっとはずしてから振り向いた。
静かな洞窟の中に、入り口からの風にのってハミングウェイ達の「音」がかすかに聞こえて来た。
これがバハムートが言っていたものなのだろう。
それは、少し悲しそうだったけれど明らかに歓喜の音楽だった。
「エブラーナにこい。俺の側にいてくれ。もう二度とそんなにお前が好きな物から離れなくなるようにしてやるから」
「エッジ・・・」
「すぐじゃなくていいから。幻界から戻って、俺のことを思い出したら来い。お前はきっと、驚くだろうな。だって、俺が王様なんてモンになっちまうんだぜ?」
リディアはくすっと笑顔を見せた。
「エッジが王様なんて、変なの」
「だろ?俺もそう思うぜ。どうだ、見たくなっただろ」
「うん」
エッジも笑顔を見せてリディアを抱きしめた。
「俺は、忘れない。自分の手が汚れてることだって。それでも、俺は自分のことを信じてくれてるエブラーナの民のために後悔なんかしてない。だからお前も後悔するな。ただ、覚えていればいい。人間っつーやつは、忘却っていう嬉しくて嫌な機能があるからな。大事なことをそれに流されるなよ。忘れることと後悔することは、バハムートにも失礼だ。わかったな」
「うん。」
「それから、な。俺は、その・・・お前が好きだからな」
「うん。」
リディアはぎゅっとエッジにしがみつく。言葉を忘れてしまったかのようだ。
「うん。」
「また泣いてるのか。子供だなあ」

魔導船が月から青き星へと最後の航海に飛び立つ。
ただ、歓喜の音と幻獣神の祈りだけが静かに月を満たしていた。


Fin


モドル

うひょー、すんません、エッジ&リディアを語ったバハムート&リディアなんですこれ。ごめんなさいーーーー!!
召喚ってダイスキなんですけどすごいシステムじゃないですか。幻獣を呼んで自分の代わりに敵を殺させるんですよ(笑)
そう思ったのがきっかけだったんですけど、こんなに暗い話になると思っていませんでした。
元原稿が6年近く前のものなので色々とご都合主義で文章もはしょり気味ですがそのままのっけてみました。
このHPの中で結構お怒り覚悟の設定です。ごめんなさい。
実はあたくし、FFシリーズんなかでバハムートがイチバンスキなの。キャラで・・・。(笑)