生命の名-2-

「わたし・・・幻界にいたの」
「知っている。見ていた」
「見ていた・・・。じゃあ、わたしがここにくるのも全部わかってたの・・・?」
「そういうわけではない。いつでも見ているなぞ、出来るわけがない。お前達だって一番側にいる人間が今どこで何をしているか常にわかるわけではあるまい」
そういう答えはとても曖昧でまどろっこしい。つい今しがた「話が早い」なんて言ったくせにエッジはちょっと苛々した。
「もっと簡単に答えろよ。あんたは一体どれだけのものを知ってるんだ。何を見てるんだ」
「おかしなことを言う」
バハムートは相変わらずの声音で言った。
「それでは、同じ質問をお前に返したら、お前は即答できるのか、人の子よ」
「・・・そりゃあ、見えるものは見えるし、見えないものは見えない。俺たちはそれだけだろ」
「お前は何をどこまで見えるのだ。どれだけ先のどれだけの大きさのものが見え、どの範囲まで視野がきいて、どの暗さまで目が聞いて、片目ではどれほどのものがわかるのだ。即答できるのか」
「ぐ・・・」
「エッジ、大体簡単な話してないんだからさー」
「ちっ、しゃーねーだろ!面倒な話嫌いなんだから」
「王様になれないよ」
「てめー!」
くすくす、とリディアは笑う。その笑顔を見てはエッジもそれ以上口をはさむことは出来ない様子だ。
バハムートは言葉を止めて、瞳を閉じた。それが何を表すものなのかはリディア達にはわからない。ただじっとバハムートの反応を見ているしか出来ない。声をかけていいのかどうかも判断できないからだ。
「時折青き星の様子を、見る」
バハムートは瞳を閉じながら言った。
「リヴァイアサンが幻界から人間界を見られるように、わたしはこの世界でわたしが作り出した幻獣が生きている場所であれば、その命が存在する場所を見ることが出来るし、幻獣の道を開いていける場所ならばいつでも見ることが出来る」
バハムートはそっと瞳を開けた。金色の瞳がリディアを射抜くように向けられる。
「けれど、そなた達とわたしは、時間の流れが違う。時折わたしが見ようと思って青き星を見ると・・・そこでは、そなた達にとっては何十年もの時がたっていることがほとんどだ」
「・・・!」
ごくり、とリディアは唾を飲み込んだ。確かにそうなのかもしれない。
この幻獣神と自分達は何もかもが違う。見えるもの見えないもの。見たいと思うもの、見たいと思わないもの。知っていること知らないこと。何もかもが違う。
そんな生き物が、自分に力を貸してくれる。
そのことを再認識してリディアは鼓動が早くなってくるのがわかった。

セシルは魔導船の床で一人で座り込み、深いため息をついていた。
一体今自分をわずらわせているのは、何なのだろう。
月の民の血を自分がひいている、とかひいていないとか、そういうことなのだろうか?
それとも、あれだけ憎んでいたゴルベーザが自分の実の兄だから、ショックをうけているのだろうか?
それとも・・・。
自分は、バロン王のために暗黒騎士としての修行を積んでいた。いつでもどこかしら自分は日のあたるところにはいなかった。
だから、あの、大輪の花のような美しいローザがどれだけ好意を示してくれたって答えることは出来なかったし、暗黒の力を手にしたことをどこかで恥ずかしいと思わなかったわけではない。たとえ主の命でも。
運命というものはとても残酷だ。
何があったのかはわからない。
たまたま運命に選ばれてゼムスの手におちたのが兄で、そして父クルーヤの意志をついでパラディンになったのが自分。
ただ、それだけだ。
今、自分が恐れているのはきっと自分自身だ。
何かが一歩間違えば、今のゴルベーザになっていたのは自分だったのかもしれない。
たとえ操られていたとしたって、自分が大切にしていた仲間を苦しめて、傷つけて、あまつさえ命を奪うことになった元凶にもっとも近い男。
そして・・・
不思議と、そうならなかった方が奇跡に近いのではないか、と思わずにはいられない。
僕は、弱い。自分がここにこうやっていることすら、逆に兄の(そうとはどうしても思えないのだが)犠牲のうえに成り立っているような気すらする。
それは今考えても仕方がないことだ。けれど人間の心は簡単に切り替わるものでもない。
前向きになろう、と思えばすぐになれるわけでも、悩むのは止めよう、と思えば悩むのを止められるわけでもない。
クリスタルはわかっているのだ。
セシルは、今、自分自身を信じられなくなっていると。
「・・・ああ、そうだ」
エッジが、カインをいつも非難していた。
あの気持ちが僕にはやっと本当にわかった気がする。
だって僕は肉親だと言われたって・・・操られていたのだから仕方ない、とは言えない。ゴルベーザのことを。
「セシル」
ローザの声が聞こえた。
「なんだい・・・?」
外から戻ってきたローザは静かにセシルの側まで来た。セシルは多くの言葉を出さない。ローザも、今セシルに必要
なものは言葉ではないと知っている。
「あなたを、抱きしめても、怒らない・・・?」
「・・・」
「お願い。あなたが不安を抱えているように、わたしも不安を抱えているの」
「ローザ」
「わがままを言わせて。お願い、あなたを抱きしめたい」
そういうとローザは床に膝をついた。セシルの答えを待たずにそっと彼の体を包み込むように腕を回す。
何も言わずにセシルはローザに体を預けた。あまり体重をかけすぎないように、お互いに心地よいと思えるくらいに体を寄せ合って。
「・・・女性は、すごいな」
「え?」
「たったこれだけで男を安心させられるなんて」
「・・・覚えているんだもの、誰だって」
ローザは儚げに笑ったけれどその表情をセシルは見ることは出来ない。
「お母様のお腹の中や、腕の中の心地よさを。残念だけど、それは男には出来ないことだわ」
「ああ、そうだな」
「あなたのお兄様も、それを覚えているといいのだけれど」
「・・・ローザ」
「わたし、囚われている間だってゴルベーザを憎んではいなかったわ」
「なんで」
「どこかに何かを忘れてきたような人だと思っていたの。・・・可哀相に、って。でもわかった。それは・・・彼自身が操られていたからだったのね」
セシルは不意にローザの腕をほどいて、自分が今度は彼女の体を抱きしめた。強く、強く。
「苦しい、セシル」
「嫌?」
「・・・ううん、嬉しい。あなたはいつでも・・・私を、壊れ物を扱うようにしていたから」
頬を紅潮させてローザは答えた。
「足りないなら、抱きしめて。折れても、いい」

魔導船が月から離れた日をバハムートは覚えていた。
二人の兄弟が生きる場所を違えた日。
気にしないといえば嘘になる。
この月の地表で生きている者は、自分と、ハミングウェイ達と、そしてその兄弟たちと、その頃はまだ穏やかにしていた魔物たちだった。
もうひとつの月で眠りについている人々を見守るためにフースーヤはここに残った。
もともとはあまり、興味はなかった。
けれど、自分が愛している幻獣達が住まう幻界に多少なりと影響を及ぼす青き星の人間界にクルーヤは驚くべき文明を持ち込んだ。それはバハムートの気には触った。
いつの日か、それが幻獣達に何か影響しなければいいが。
突然現れた高度な文明が生態系を乱すものを作り出さなければいいが。
それだけがバハムートの懸念だった。
彼はあくまでも幻獣神であって、月の民がどうとか、フースーヤがどうとか、そんなことはどうだっていいのだ。
人間界のことだって、幻界と密接な関係がなければきっとどうとも思わないに違いない。
その懸念から、バハムートは何度かクルーヤの様子も見ていたのだが・・・。

「あの男は幸運だった」
「誰のこと?」
「お前たちともにいるパラディンだ」
「セシル?」
「そうだ。親から祝福を受けた名をそのまま持つことが出来たのだから」
何をいってるの、とリディアはまばたきをする。
「セシルは、バロンの王様から名前を貰ったのだと思ってるわ」
「違う。あれは正しくクルーヤから授けられた名だ。月の民、とお前達が呼んでいるあの者たちは・・・清音で名づけるか、3つの音で名付けるかのどちらかを必ず守る」
「・・・え・・・」
クルーヤ、フースーヤ、セシル、ゼムス。二人は思い出しながら、あれ、という顔をした。
「おかしーじゃねえか、ゴルベーザってのは何だよ」
「おそらく」
バハムートはゆっくり答える。
リディアもエッジも、どうも先ほどからバハムートが言う話は、自分達が聞きたい話と違う気がする、と思っていたけれどそれでも興味を引かれずにはいられないことは事実だ。
「月の民の血を否定するように、後から名を変えられたか・・・名を失ってしまい、どこからか与えられたのだろう」
「本当は、違うのね」
「・・・あの者が、クルーヤから授けられた本来の名は」
そう、確か・・・とバハムートは瞳を閉じた。
一体いつからいつまで生きているのかわからないこの幻獣神は、まるで人間が物を思い出すような仕草をした。けれどそれは当たり前で、人間の何倍何百倍と生きればそれだけ記憶が目まぐるしく入れ替わったりするのだろう。
覚えている記憶がどれほどの量なのか二人には想像も出来なかったけれど・・・。
次のバハムートの言葉に、二人は衝撃をうけた。
「カインと。兄はカインと。授けられた祝福は、いつの日か、月に帰るように。弟はセシルと。いつの日か、青き星の発展に貢献出来るように、と。・・・そして」
歌うようにバハムートは少し声を高くして続ける。
「カインを名乗るものがセシルを名乗るものの成長を促すように。セシルを名乗るものがカインを名乗るものと肩を並べる力をもつように。それが、クルーヤが授けた祝福だ。・・・歪んで、しまった、祝福だ」
そのとき、リディアが青ざめて立ち上がった。
「・・・いや・・・気持ち悪い」
「リディア?」
「そんなの、気持ち悪い。どういうこと。じゃあ、カインは一体なんなの。セシルのお兄さんの名前が本当はカインで、だけど違う名前になっちゃって・・・」
「落ち着けよ、リディア」
「じゃあ、あたし達が知っているカインは・・・ゴルベーザの代わりにセシルを助ける役目をもっていて・・・それで、それはその、セシルのお父さんが、祝福、とかいうものをしたからってこと?」
「リディア」
「だって、やだ。一所懸命みんな生きてるのに、そう言うのと、違うところで誰かが決めた何かで動かされてるみたい!」
エッジは慌ててリディアに駆け寄った。リディアは何の躊躇もなくエッジにしがみつく。
子供が怯えているように、どこを見ているのかちょっとわからない目線で彼女はもう一度言った。
「おかしいよ。そんなの。あたし達が生きてることって、何なの?エッジ、あたし、気持ちわるい」
静かにバハムートは言った。
「そうではない。あれは、月の民独特のものだ。自分の子供に祝福を授けて祈るのは。お前達が気に病むことはない」
「とか言ってるけどよお、じゃあカインの野郎はどうなんだよ。結局、その祝福とやらに巻き込まれてセシルの側にいるような運命になっちまったんじゃねえのかよ。そしたら、関係なくねーよ!」
エッジはバハムートに叫んだ。
その言葉はこの幻獣神にどれほど届いているのだろうか?表情をバハムートは変えずに答える。
「お前達は勘違いをしている。月の民の祝福は、拘束力などない」
「え」
「ただ、祈るのだ。新しい命に。そうであって欲しい、という祈りを授けるだけだ。・・・それに答えるかどうかは本人次第。それはお前も同じだろう、愛しき娘よ」
「・・・わたし?」
バハムートはすっとリディアを指差した。
「そなたの生命のらせんに、我々幻獣と共存するための約束事が編みこまれている。けれど、そなたが召喚士になるかならないかは誰も決めることが出来ない。そなたが決めるだけだ。お前とて、そうだろう。青き星の忍者よ」
「はあ?」
「ただ、生まれた家柄が忍者だったというだけだ。けれど、その道を選ばないことだって出来る。ほんの少しそうなりやすい環境が整っていただけだ。・・・それと同じだ。生きるということは、そういうことだ。出来るだけ影響を受けやすいものを選ぶか、あえてそこから外れるかは本人次第だろう。月の民の祝福とは、それと同じ。拘束力はない。だから、お前達がカインと呼んでいるその男は何も関係はない。関係はないが・・・カインという名を聞いて、あのパラディンは他の人間よりもその名をもつ者に惹かれる要素が多少ある、というだけだ。ただ、それだけだ」
リディアはエッジの胸に顔をうずめた。泣いているのではない。ただ、不安に怯えて。普段のリディアだったらこうやってエッジに飛びつくにせよすぐに離れてしまうだろうに。
その様子をエッジはわかって、彼らしくもなくそっとリディアの髪を子供をあやすように優しくなでてやった。
「よくわかんない。よくわかんないよ、エッジ」
リディアはエッジの手の感触に安心するように瞳を閉じてつぶやいた。
「わかってたまるか。・・・月の民とやらのことも、この竜のことも、わっかんねーよ。一体何様なんだよ、あんたも月の民とやらも」
「知っているはずだ。私は、幻獣神だ。それ以外に何の答えもない」
そう答えたバハムートの瞳が少し寂しげに曇っていたのをエッジは気づかない。気づかないけれど
「・・・あんたは、よく見てたんだな。その・・・セシルのオヤジのことを、さ」
「そうだな・・・ある意味であの男とゼムスは似ていたのかもしらん。だから気になったのだろう」
また意味がわからないことを、とエッジは舌打ちをした。それへは取り立てて嫌な顔をしないでバハムートは続ける。
「ここへやってきた、眠りについているあの民達はみなそうだ。あえて自分達から何かをしようとしない。ただ青き星が自分達にとって住みやすい文明まで発展してくれることを願って眠っているだけだ。祝福もそうだ・・・が、クルーヤもゼムスも形は違えど・・・青き星を自分達から変えようと動き出した対極をなす者たちだ。皮肉にもあのパラディンとその兄が今対極を成しているように」
そういうとバハムートは背を向けて2,3歩下がった。と思ったら消えていた両脇の従者が姿を突然現し、バハムートと二人の間を遮るように前に進んできた。
「なんだよ、しゃべり逃げかよ!」
「何十年分も話したものでな。大層疲れた」
バハムートは振り返ってそう言った。が、あながちそれは間違いではなさそうで、あれほど強靭な姿になるこの竜はうんざりしたような人間くさい表情を浮かべてみせる。
「他に何が聞きたいのだ。お前達は人に曖昧な質問をしておいて、これ以上何か望むのか」
「うーんと・・・」
そう言われるとエッジには何も言葉が出ない。心のどこかでバハムートはなんでも実は出来て、色々と教えてくれたり協力してくれるのではないかという期待がなかったといえば嘘になる。
リディアはエッジにしがみついたままで言った。それでも顔色はみるみるよくなっていて、いつも通りのリディアに戻ったようにみえる。
が、エッジもまだリディアを離すつもりはないので、あんまり邪魔にならないように「役得だなあ」なんて思いながらそっと腕をまわしたままだ。
「もうひとつだけ、あの、教えて」
「何だ」
あまりに自然にエッジが抱きしめていてくれるのでリディアはそれに気づかないように、バハムートを見つめた。
「あの、あのね、もし・・・もしわたしがね、カインみたいに・・・もし、操られたのがカインじゃなくてわたしだったら・・・もし、そんな
わたしが召喚したら、バハムートは来てしまうの?」
「・・・リディ」
エッジは嫌そうに
「そんなばかげたことは口にだすもんじゃねえぞ、おい」
「だってえ〜・・・」
バハムートはそれには即答だった。付き人二人の後ろから静かに、けれど決してそれは譲らない響きを持っていた。
「そのような召喚には答えない」
「・・・そうなの?どうやってわかるの?」
「我ら幻獣は、召喚士の力の大きさだけで契約を交わすのではない。お前の生命のらせんに編みこまれた、我ら幻獣と共存するためのことわりを無視するような召喚には答えられない」
「うーんと、バハムートが言ってることは難しくてわからないよ」
「そうか」
「そうか、じゃなくて・・・もっとわかりやすく教えてもらえると・・・嬉しいな」
ダメ?とバハムートを見るリディアの視線は、ローザやセシルに甘えるときと変わりがない表情を作っていた。それがたまらなく愛しいもののような気がして、エッジはちょっとだけ赤くなる。・・・もちろんそんなことはリディアは気づきもしないが。
「それは、今、あのパラディンが魔導船を動かせないことと同じだ」
「え?」
「魔導船を動かすクリスタルは、心に迷いがないあのパラディンを主と認め、クルーヤの後継者と認めたのだろう。けれど、今のあのパラディンは心を曇らせ、目標をわずかに見失い惑っている。クリスタルもそれを憂えているだろう。それと同じだ」
「うーん、よくわからないけど」
リディアは首を小さくかしげて言う。
「でも、安心した。よかった」
「・・・操られてしまったときに、私の力を使ってむやみに人を傷つけずにすむからか?」
とバハムートは聞く。と、きょとん、という表情でリディアは
「え、あ、そう、それもあるけど・・・」
「・・・なんだ」
「バハムートだって、悪いことのために力を使われたら、悲しいでしょう?」
エッジはぎょっとしてリディアを見た。ああ、もう、この少女はいつだってそうだ。
「・・・よく、わからぬな、お前がいうことは」
「じゃあ、おあいこね。わたしもバハムートがいうことはよくわからないから」
付き人二人が神妙な顔つきになった。バハムートもちょっとだけ目を見開いて、見せたことがない表情をリディアに向ける。
「そ、それだけ。ありがとう、バハムート・・・。疲れさせちゃってごめんなさい」
「・・・いや、いい。お前と話をするのは・・・悪くないようだ」
「本当?嬉しい!」
が、エッジは
「なんだよ、おめーさっきまで気持ち悪い、とかいってたくせに、現金だな」
「う、うん。だって・・・考えてみたら、バハムートはなあんにも悪くないもんね・・・ただ、お話してくれただけなのに、わたし、失礼
だったなあって」
「いーんだよ、お前が感情押し殺す方が失礼だぜ。子供は子供らしくしてればいいんだから」
くっくっく、とエッジはおかしそうに笑う。それへリディアはかあっとなってエッジの腕の中でかみつくように言った。
「また子供扱いするっ!」
むー、と小さく口を尖らせてみせると、エッジは嬉しそうに目を細めていたづらっぽく言った。
「聞いてみな、バハムートだってお前のことを子供だって言うぜ?」
「ええ〜っ!?」
そうっとリディアはバハムートへまた目線を移す。
バハムートの前にたっている付き人二人に一瞬緊張が走るのがわかった。
「わ、わたし・・・子供・・・・?」
「・・・私から見れば」
表情を変えないまままたバハムートは答える。が、先ほどまで淡々と語っていた彼と違い、何度も瞬きをしている。それはもしかしてちょっと困っているということなのだろうか?その人間ぽさをエッジは気づいて「おいおい、案外この竜も感情があるんじゃねえの」
なんて心の中で思ってみた。
「お前も、子供だ。青き星の忍者よ」
「なんだとーーーっ!!?」
「わあ、エッジ大人げないよっ!」
「いーんだよ、子供だって言われたんだから!」
バハムートにくってかかりそうになったエッジを、腕の中でリディアは慌ててエッジの服を掴んだ。
「さあ、戻ってお前達のパラディンに伝えるがいい。・・・ゴルベーザとやらに会って、本当の名を取り戻してやるがいい、と。
それは、弟であるお前の役目だ、と」
「・・・ああ、そうする」
多分それは。
今日最初で最後の、バハムートの優しい言葉だったに違いない。
バハムートはそうとは言わないし、彼らもそうではないか、と詰め寄りはしないけれど、バハムートは今セシルに必要な、何のために自分はここにいるのか、そして戦わなければいけないのか、自分は何をすべき人間なのか、という見失いそうなものを提示してくれているのだ。
たった、それだけの理由だけでいい、心に迷いがなければ。
多分、そういうことなのだとエッジは理解をして。それからバハムートはまた背をむけたけれどその瞬間・・・
バハムートが口はしに小さく笑いを見せたようにも二人には見えたのだった


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モドル

ぎゃっふん、やりすぎの巻!!一体○年前の自分が何を考えていたのかわかりません。
が、うっすらと覚えているのは「ゴルベーザ」って名前は、無理矢理悪役設定したみたいな名前だなーって・・・。
多分、そこからの発想だったと思います。ゼムスはまあ、ゼロムスになっちゃうんだけど、あくまでもここでは月の民のひとり
だったゼムス、という人物(?)に絡んだ話です。
こじつけ気味の暗い話じゃのう。これでもやりすぎな設定ガンガン削って書いたのですが・・・。
あまりにオリジナル色が強いので、アップする順番を後回しにしようととっておいた話です。