月に光る-3-

男達を捕らえて、遅い時間であったけれども町長の屋敷を訪問して事の次第を報告した。
この町の指導者は人魚捕獲に関しては禁止する方針であったので、翌日彼らの処遇をおって決めよう、ということになった。
明朝になればウォーレンも帰ってくる。あの智に長けた老人にこの件は任せれば間違いがない、とソニアは思っている。
ソニアはまた朝と同じようにエリザベートとノーマと共に海辺に座っていた。
あの男達の処遇は明日決めることになったよ、と報告したけれど、彼女達は多くは言わずに海からそっと上半身を出して月をみつめるだけだった。
「わたしたちマーメイドは・・・もともと、誰もがブリザードを行使できるわけではありません」
「そうなの?」
「・・・人間達の侵略が、私達にその力を目覚めさせてくれました。それは、とても悲しいことです」
ぱしゃ、ぱしゃ、と尻尾が水面に出ては沈み、出ては沈む。その度に月明かりに照らし出されてきらきらとそれは光っていたけれど、それは今、まだ彼女達の感情が一定に穏やかになってはいないことを語っている。
「ソニアさま、わたくし」
エリザベートが静かに言った。
「今日限りで、反乱軍を抜けたいと思います。・・・わたし、この地に留まって、これからここで何が起きて、どうなるのかそれを見届けたいと思います。死んでいった仲間のためにも・・・。」
ソニアをみつめる瞳はとても澄んでいて、きらきらと光る髪、尻尾、どれもあまりに人とは違いすぎるほど美しくて、ソニアはしばし言葉がなかった。人間の愚かさやどす黒さは、顔にも確かに出ると思う。
マーメイド達が美しいのは、「人間ではないから」なのだろう、とソニアは思っていた。
「エリザベート!ノーマ!」
そのとき、ソニアの頭上で声がした。カノープスがアイーシャを連れてきてくれたのだ。
きっと、話を聞いていてもたってもいられなくなったのだろう。ばさばさ、と羽音をたててカノープスはそっと降りた。
自分のときはもっと乱暴に降りるくせに、なんてことをソニアは思いながらそれを見る。
アイーシャは自分についてきて反乱軍に加わったこのマーメイド達に、ばしゃばしゃと走りよろうとした。慌てて二人は陸地の方へと体を動かす。
「ごめんなさい。ごめんなさい。私達人間は、生きている間に毎日懺悔を繰り返しても、それでも、聖なる父から許しをいただくには難しいほどに更に罪を繰り返す愚かな生き物なのです」
そういってアイーシャは濡れるのも構わずに二人を抱きしめた。
ソニアの後ろに、更に足音が聞こえた。ランスロットだ。
ランスロットはどうやらカノープスとは別に、ソニアの所在を確かめるために朝と同じようにやってきたらしい。
既に彼も軽装になっていて、腰に剣を一本無造作につけているだけだ。1日の探索に疲れているはずなのに、この聖騎士は自分が思ってとる行動に妥協点がないようだ。
ソニアが振り向くと、ランスロットは静かにソニアを見た。何も言わないけれど、ソニアがきっと落ち込んでいるのだろうと思う気遣いが感じられる。
「アイーシャさま・・・」
ノーマは大粒の涙をこぼして、そっとアイーシャに頭をもたげた。初めて見る人魚の涙は人間とまったく変わりがなくて、きっと
彼女達の体温に近い温度で流れているのだろう。
カノープスはそっとその場から少し離れて、ちょっとだけある岩場に腰かけた。
この雄雄しい有翼人が実はもらい泣きをしがちな性質だとは誰もまだ知らない。
「アイーシャ。エリザベートはこの地に残るそうだ」
「えっ!?」
「あたしは、それを許してあげたい」
アイーシャは驚いてエリザベートを見る。
「・・・アイーシャさま、お許しください。わたくし・・・」
それだけいうと言葉に詰まったようにエリザベートはうつむいた。
「ノーマ、あなたは?」
「わたくしは、皆様方と共に行こうと思っています。この旅の先に・・・人間たちが何を求めて、どのような世界に自分達を導くのかをこの目で確認したいのです」
ソニアはちらりとランスロットを見てから言った。
「・・・エリザベート。あたしが見たところ、お前はニクシーとして新たな力を手に入れることが出来る。・・・どうする?」
それは、反乱軍ではソニアだけが許されている特権だった。
彼女は人々の能力を見定めて、神からの祝福をうける権利を持ったものに新たな力を与える儀式を行える。
ウォーレンが反乱軍リーダーとしての素質で最優先していた事項が、それを出来ることだったといっても過言ではない。
それが出来るものは特殊な洗礼をうけているがゆえに、自身の能力を追加することは出来ない。今ある能力を、更に強くすることだけが許される。それがソニアを毎日の鍛錬に駆り立てるものなのだろう。
彼女は先ほどの揉め事でエリザベートがブリザードをうったとき、新たな力を授かるに十分な素質が芽生えたことを鋭く察知していた。
「ちょうどいい。アイーシャがいて、あとはランスロットがいる。儀式を行うために必要な人間はそろっている。」
聖職者と、既にその儀式を行ったことがあって、更にそのときの誓いに外れず誠実に生きてきた者。その二人が必要だった。
アイーシャと、既にパラディンへ昇格しているランスロットはそれにうってつけだった。カノープスはそういったことを特に苦手とするからあえてソニアは声をかけない。
エリザベートは月光をうけながら、小さく微笑んだ。
「ニクシーとしての力を、いただきたいと思います。」
「そうか。その力で、お前は何を成す?」
「・・・誓いましょう。すべての命を守るために。傷つけるためでも殺し合いためでもなく、ただ、守るためのみにその力を使うと。たとえ、守るために何かを傷つけたとしても・・・。決して恥ずべきこと、後悔すべきことにそれを行わないと。」
「そうか。その言葉、お前の命が尽きるまで、偽りなく誠実に生きていくことを誓うのならば・・・。アイーシャ」
「はい」
そっとアイーシャはエリザベートから離れた。
人魚はもう少しだけ砂場に体をあげて、打ち寄せる波がわずかに尻尾にあたる程度の場所まで移動した。その彼女をソニア達は囲む。
月明かりに照らし出された人魚は美しくて、ソニアはまた、彼女の髪に触れたいと思う。
「そなたが、ここで、そなたが選んだ道を後悔せずに、そして、私達と共にした時間を忘れないでくれることを祈っている」
ランスロットはそういって微笑した。その声は穏やかで、誠実さが現れているようだ。
そうっとカノープスの側まで、ノーマが尻尾を砂にまみれさせながらゆっくりと近づいてきた。
「・・・寂しくないのか」
苦笑して聞く。
「寂しいに決まっています」
「そうか」
「けれど、わたしも彼女も間違っていないと思います。・・・わたしは、生きて、そして、いつかここに帰ってくるつもりです」
「・・・そうか」
ノーマは泣きながらエリザベートに新たな力を授ける儀式をみつめていた。
なんだか、今日はとても月が明るくて、真夜中なのに彼らの姿がよく見える。
アイーシャが天の父に対する祈りの言葉を捧げるのがうっすらと聞こえた。ソニアは立会い人としてそれを静かに聞いている。
それからランスロットが僅かな言葉を・・・立会いを行った己の名を言っているだけのように聞こえた。
「!」
ノーマが息を呑んだ。
ソニアが腰に挿していた聖剣ブリュンヒルドがうっすらと白く光るのが見えた。
彼らはそれを気づいてはいないのだろう。
「エリザベートに神の祝福あれ」
ソニアが印を結ぶと、エリザベートの体を淡い光が包んだ。
カノープスは神の洗礼なんてものは信じていないしどうとも思ってもいない。神がいてもいなくても、戦が起こって人間が生きたり死んだりする。神の存在なんて、意味がないと思っていた。けれど、生きるためになんらかの力をこうやって与えてくれる。
結局、授かった力をどう使うか、までは神様は決めてはくれないのだ。
「・・・今日は、やけに月がまぶしいな。」
そして、月光の下で、エリザベートはニクシーへと変化を遂げた。

静かな波。
ソニアはまだ一人で膝を抱えてじっと白波を見ていた。夜なのにはっきりとわかる。
ランスロットは離れた場所で、ソニアが帰るまで付き合う、といって待っている。が、ソニアの方は既にランスロットが後ろで待っているなんてことを忘れてしまっているかのようだ。
今晩から明日にかけて、エリザベートとノーマは二人でこの海で別れを惜しんでいるのだろう。
突然ソニアが立ち上がって、砂をはらいもせずに海にむかって歩き出した。
「ソニアっ!?」
驚いてランスロットが声をかける。
「あ。ランスロット、いたんだっけ」
案の定忘れていたようだ。ランスロットは苦い顔をしてソニアに近づいてくる。
「ちょうどいい、これ預かっておいてくれ」
「こ、こらっ!」
腰につけていた聖剣を無造作に砂浜に放り投げる。それから、既にずぶぬれになっていた靴を投げる。
そうしてソニアは海にはいっていった。
「一体何をやらかすつもりなんだ!」
「んん?いや、エリザベートがこれから生きていく場所を、もう少し感じてみたいと思って」
「危ない」
「大丈夫。ランスロットより泳ぎが得意な自信はあるぞ!」
そういって笑顔を見せるとソニアは海に飛び込んだ。
「おいおい・・・勘弁してくれ・・・」
なんにせよ、簡単にブリュンヒルドを放り投げるのはいただけない。認められた人間のみが手にすることを許されたその聖剣についた砂をランスロットははらってやりながらため息をついた。
波間に映っていた月が歪む。
ランスロットとて、シャローム出身だから海は案外近くにはあったから泳ぎは得意なほうだった。けれど、確かにソニアは泳ぎは達者なようで何をしよう、と困ることなく波間に出たり消えたりしながら移動していく。
「・・・寂しいのかも知らんな」
まさか、こんな形で仲間と別れるとは思ってもみなかっただろう。
エリザベートが選ぶ道も、ノーマが選ぶ道も、どちらが正しいわけでもどちらが間違っているわけでもない。
敢えてニクシーの能力を授けたのは、ソニアの餞別だ。
本当ならば、もう戦にいくわけではないエリザベートに、戦うため、生き抜くための能力をソニアが授けるいわれはないのだ。
それでも授けたのは、その力を使ってでも守らなければいけないことがあるのだとソニアが思ったことと。
なおかつ、この力を使う時がこなければいいな、という矛盾した祈りゆえだ。
「まいったな、しかし」
鎧で来た訳ではないから、マントすらない。
あのぬれねずみのリーダーをどうしてくれよう?
しばらく堪能してからソニアはばしゃばしゃとあがってきた。髪が顔にはりついて、逆に額が全開になっているその姿はお世辞にも可愛いとはいえない姿だった。
「あー、気持ちよかった。この海は本当に綺麗だな。」
「・・・そんな格好でどうするんだ」
「そのうち乾くだろう。」
「昼間じゃあないんだから」
「んー」
ソニアは服のすそを手で手繰り寄せてぎゅ、と絞った。出来るところは全部そうやって絞ったものだから、服がしわくちゃになって
しまっている。
「どうせ誰も見やしない」
「戻れば誰かはいるだろうに。」
「まあまあ」
「まあまあ、じゃないだろう。」
「うるさいなあ、ランスロットは。せっかく今日はランスロットを誉めようと思ってたのに」
そういってソニアは一度髪の紐をほどいて、自分の髪をぎゅ、と絞り、それからまた軽く縛りなおす。
ランスロットは驚いたように言った。
「誉める?」
「うん。来てくれて嬉しかったから。」
「・・・それは誉めているのか?」
「え。違うかな。あ、そうか、それはあたしの感情だな。・・・いいタイミングで戻ってきてくれて、ありがたかった。」
「マンゴーばあさんにえらく足止めされてな。何故か帰そうとしなくて困った。一人暮らしのようだから人と話せるのが嬉しかったのだろうけれど」
「・・・それはどうだかなあ・・・」
マンゴーがただの若い男好きだと知っているソニアは苦笑した。
あの魔女から見ればランスロットだって若いうちにはいってしまうのだろう。30代後半の男を引きとめて何が嬉しいのだろうか。
「明日、指輪を取りにいくんだ。ランスロット、一緒に行こう」
「な、何故?」
「え?だって、そういうとこ、見たことないんじゃないのか。貝殻細工作ってるところとか、真珠を加工しているところとか。今日、頼みにいったんだけど、すごい細かい細工をしているお店だったんだ」
確かにそうだが、とランスロットは困ってどう返していいかわからなくなってしまった。
そんな呑気なことよりも、明日はあの男達の処遇について、とか次の進軍先について、とか、今日探索した部隊からの報告を、とかやることは目白押しなのだから・・・。
「あまり装飾品をつけるのは得意じゃないけど・・・。本当に小さい真珠だったから、はめた上に手袋しても困らないって店のおやじさんが言ってた」
「手袋をしてしまっては意味がないだろう」
濡れた髪の先っぽをもう一度しぼりながらソニアは答える。
「身を飾ろうと思ってるんじゃないよ。今日のことを忘れないための戒めだ。・・・この旅が終わったらノーマと一緒にここにきて、あの真珠をこの海に返してあげようと思う。ひとつ、やることが増えた。」
そういったソニアは月明かりに照らされて可愛らしく笑った。
結局彼女は今日の一件に関しては泣き言も怒りも悲しみも何もランスロット達には見せないままだ。
けれど、それは無闇にランスロット達が聞き出す話でもない。
「ソニア殿、そろそろ帰ろう。一休みしないと明日がつらくなる」
「うん。ランスロット、付き合ってくれてありがとう。今日も疲れただろうに。」
そういうと、水びたしになっている自分の靴をソニアは履いた。
がっぽがっぽ音をたてて、水を含んで重くなってしまった靴は非常に歩きづらい。ランスロットのあとを懸命についていくけれど、それはなんだかえらく必死の形相だ。立ち止まってランスロットが振り返ると
「あはは。足が重くなった」
子供のようにソニアはまた笑う。けれど、その笑顔がちょっとだけ泣き笑いなのをランスロットは見逃さなかった。
(・・・いや、泣いてはいない。)
ただ少しだけ。眉間によった皺が、笑っても消えないのだ。きっと、今日、心に何か思ったことは彼女にとってはまだまだ悩めるようなことに違いない。
ぼてぼてと歩くソニアの足取りはなんだか情けない。ランスロットは苦笑した。
「ゆっくり、帰ろう。・・・月が綺麗だしな」
「うん」
柄でもないことをいってランスロットは歩調を緩めた。砂浜から離れて、ちょっと木々が生い茂った道を二人は歩いていく。
足元はまだ砂地が続いていて、靴が重いソニアはやはり足元をとられながら懸命に前に進もうとする。
がぽがぽ、と奇妙な音を立てながらソニアは聞いた。
「ランスロット、朝も聞いたんだけど」
「うん?」
「不老不死にランスロットはなりたいとは思わないのだな?」
「・・・あまり興味はないな」
それに、死ねないならば、亡き妻のもとにいくことも出来ない。ランスロットはそっとそんなことを思ったけれど、何故かここでいうことは出来なかった。
「ソニア殿は?」
「うーん、正直いうとよくわからない。死なない、ということは何かいいことがあるのだろうか?」
「では、死ぬ、ということは何かいいことがあるのか?」
驚いたようにソニアは立ち止まった。その様子に気づいてランスロットも止まる。
「別に。死ぬことは、ただ、死ぬことだ。それ以上のことなんてありはしない。だから、死にたくない、という人間はきっと、死なないということにいいことをいっぱい見つけているのかと。」
「・・・違う。みな、死ぬということに恐怖を感じて、その時が出来るだけこないといい、と思っているのだ」
あまりに素直な言葉にランスロットは驚いた。
ソニアの言葉には嘘偽りはない。
「そなただって、明日死ぬといわれたら、嫌だろう」
「・・・嫌だ。でも、そういうこととは違う。・・・だって、私達は生き物だろう。死ぬ前提で、命をもらってここにいるのではないのか」
「・・・」
「それを、回避しようなんて、おかしい。不老不死になりたい、ということは・・・今ここにいる自分が自分でなくなることなのではないのか」
「みな、そなたほど聡くないのだ。」
そのランスロットの言葉をきいて、ソニアはとても複雑な表情を見せた。わからない、とその顔を告げている。
ふう、と息をついてランスロットは聞いた。
「わからないか」
「わからない」
即答だった。ランスロットは苦笑してゆっくりとソニアに教え諭すように言った。
「・・・そなたは、エリザベートの髪が美しいといった。」
「うん」
「そなたは、自分が赤毛であまり綺麗でないから、彼女のように美しい髪というものが、どんな風なのかと、触らせてくれといっただろう」
「うん。・・・よく覚えているな」
少しだけソニアは赤くなる。決してランスロットはバカにするでもなく穏やかに言った。
「それは、ないものねだりだろう」
「・・・・うん・・・」
みるみるうちに、ソニアはしょげかえって、そっと自分の髪の毛に触れる。
「でも、わたしは、そなたの髪は、綺麗だと思っているぞ」
「・・・えっ」
「それを、そなたが知らないだけだ。今のそなたで、十分だというのに。」
意味がわからない、という表情でソニアはランスロットを見上げる。
「それと同じことだ。何も違う話じゃあない。そなたは、その姿でこの世に生きている。そうでなくなることは、今ここにいるそなたが違う生き物になるということだろう」
「・・・ああ」
「それでも、ないものねだりを人はしてしまうんだ。・・・そなたが人魚達のような髪をもったって、世の中の金持ちたちが不老不死になったって、引き換えに自分自身でなくなってしまっては意味がないのにな」
「うん。・・・ちょっとだけ、わかる。」
悲しそうな表情でソニアは言う。
「本当は、あの男達はわかっているんだよな。きっと、あの男達は・・・自分達は、人魚の肉を食べたりはしないのだろう」
「そうだな」
「家族にも食べさせないんだろう」
「・・・ああ」
しばし黙ってうつむいているソニア。彼女はまた、何を考えているのだろう?
そして、いつになったらその思いをすべて吐き出してくれるのだろう?ランスロットはこの小さなリーダーを見つめた。
やがて、顔をあげて小さくソニアは笑った。・・・やはり、思うことを教えてはくれないのだな、とランスロットはそれを見て少しばかり寂しい気がした。
「あたしにもわかる例えを作るのは、大変だな、ランスロット」
「・・・いや。思っていたことを言っただけだ。」
「本当に?今のあたしで、十分なのか?」
あっさりとソニアはそういったが、その言葉に逆にランスロットは口を半開きにして返答に詰まる。それから、話をそらすように
「そなたは、十分に素晴らしいリーダーだ」
そういってランスロットはまた歩き出した。ソニアはあわててがっぽがっぽとそれについていく。
「ランスロット、待て!歩きづらいんだぞ!」
「足腰が鍛えられてよいだろう?」
「なんだと!」
「・・・少しは服が乾いてきたようだな」
ランスロットが振り返って笑う。
「おかげさまでね」
答えたソニアは、まだ髪が濡れていて月明かりに光っている。
その姿を目を細めてみて、ランスロットは口元を少しだけほころばせたのだった。

ランスロットの後を必死においかけながらソニアは思った。
あたし達は早くゼノビアの王子を探さなければいけない。
今の自分には、解放した土地をどうするか、統治をしていくための力は何一つないのだから。
明日、人魚が海に帰る。
それはとても自然で当たり前のことだけれど。
明日は指輪をつけて、そしてエリザベートに会いに行こう。ひとときのさよならを言うために。


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モドル

ポルキュスへの同情よりも、解放したあとに人間が何をするか、の方がとても気になっていたので、こんな話を書いてしまいました。なのですが、前回同様、今回も最後はバカっぱなしになってしまいました。ははは・・・。(汗)すまん・・・。
っていうか、なんでこの二人、こんなにバカなの!?バカ過ぎる!!でも、あたしはもっとバカなので、お姫様だっこやら、おんぶやらをランスロットにして欲しかったの!(病)が、まだそこまでは進展してないので、やめました。(泣)ランスは、ソニアに愛を語ってるのにネ。ソニアだってランスをデートに誘っているのに!(バカ)
しかもきっと、思いのほか小さい指輪にランスロットが驚くのよっ。で、改めてみるとソニアの手はやっぱり小さいの。
ランスロットがしたら小指くらいなのか、なんていってソニアが笑ってランスの指に・・・(←誰か止めろ)
それより、ランスロットに「不老不死になったら妻のもとには」云々を言わせるかどうかを直前まで悩みました。

今回ついに「クラスチェンジ」について書いてみました。シエラバージョンでもちょろっと触れてたんですが、簡単にクラスチェンジって言うけど「一体ソレ何なの!?」って感じ。(笑)ラブラブなだけの小説を書こうとキバればキバるほど、遠いものが出来上がってしまいますね。

最後にオーロラとビクターがも一度逢引していて、オーロラが影から「もーっ!ランスロットさまったら気がきかないわね!」
とじたじたしているところを書きたかったのですが・・・。(私の分身か!?)
オーロラはまだ、父性愛だと信じているので(ニガイ)やめときました〜。サブキャラ書きすぎヨ、へっぽこさん・・・。
めんどうなのでディアスポラかっとばします。多分・・・。ノルン苦手なのよ、デボネアファンとしては。