没原稿祭り

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オフライン小説で書き始めて「これじゃねえんだよおおおお!!」って没になった一部です。見たいというご要望をいただきましたので、こちらで供養。
一発書きで読みなおしてないので誤字脱字どころか「あとでここにこれ書く」みたいな指示や「描写書かないでセリフだけ並べとけ」みたいな場所もあるので注意。

・レヴィシル没原稿
・トリオピR18(R18描写までいってません)没原稿


【レヴィシル没原稿】

 暖炉から離れて、冷たいベッドに潜り込むのは勇気が必要だ。湯を入れた小さなカイロを足元に忍ばせて置いても、毛布やシーツ全体が温まるわけではない。
 シルヴィアは、シレジアに来てから生まれて初めて厚手のカーテンを見た。程よい重みは夜の寒さに耐えられるように思えて安心感をシルヴィアに与える。
 また、ベッドの側に敷かれた綴織のラグは羊毛で出来ており、夜中に寝ぼけて裸足で降りても床の冷たさから守ってくれる。
 シレジアにはとにかくたくさんの「初めて」があったが、やってきて程なくして季節は冬に向かおうとしていた。慌ただしく為される冬の準備は、ようやく少しだけ慣れてきたと思うシルヴィア達の生活を再び「初めて」づくしにした。
 シルヴィアは、セイレーンの城下町の人々ともまたたく間に仲良くなった。だが、それは単に彼女が外交的だから、という理由だけではない。確かに彼女は共にシレジアに来た仲間達の中では順応性が高い方で、それ以外の理由を周囲は考えもしていなかったわけだが……。
「つめたッ!」
 ベッドに潜り込んでシルヴィアは声をだし、もぞもぞと体を毛布の中で丸めた。足先にあるカイロを行儀悪く足で挟んで、毛布にくるまったままもぞもぞとそれを膝、太もも、そして腹部あたりまで器用に足で押し上げる。
「はあーーー……」
 手でカイロを触り、それから毛布に潜り込んだ自分の頬、鼻、耳を触る。
「今日も……」
 ぽつり。
 不意に出た言葉は、声にしたかったわけではないものだった。シルヴィアは再びカイロを足だけでつま先付近に押しやって瞳を閉じる。
(今日もレヴィンと会えなかった)
 彼女達が現在暮らしているセイレーン城は、ラーナ王妃の厚意で開放してもらった小さい城だ。レヴィンの母親であるラーナはそこから少し離れたシレジア城で、王妃としての職務を日々行っている。
 国外ではふらふらと自由気ままにしていたレヴィンも、国に帰ってきてしまえばさすがにそれなりの執務らしきものを手伝わなければいけないらしい。
 勿論、それはシグルド達を匿って、グランベルへとアプローチを続けてくれているラーナに対する恩返しも含んでいることだとも、さすがのシルヴィアも理解をしていた。
 だから、共にシレジアに来た仲間達とはセイレーン城で暮らしているものの、レヴィンはたまにシレジア城に行ってはそちらに数日滞在をしている。今日も昨日もそうだった。いつ帰ってくるのかは一言も告げずに、ただ「シレジア城に行ってくる」とシグルドだけに声をかけていくのだ。
(それに、大体フュリーと一緒……)
 立場上仕方がないと言えばそれまでだが、やはり焼ける。
 レヴィンとシルヴィアは恋人同士ではあったが、どちらかと言えばシルヴィアが押して押して押しまくってそうなった。彼女にだって自覚はある。だから、レヴィンが自分以外の女性と入れば不安になるのは当然のことで。
(大体レヴィン、シレジア行く時にわたしじゃなくてシグルド様にだけ言っていくっていうのもどうなの?)
と、苛立って同じことを今日一日で何度考えただろう?



 シルヴィアは、よく人々に「意外だ」と思われるが、案外と早起きだ。彼女からすれば、年がら年中移動をしていた旅芸人の一座にいたこともあったため、朝陽と共に起きて動き出し、陽が暮れる頃には安全な場所を確保して休むのが当たり前。
 寒い中ベッドから出ることはなかなか勇気が必要だったが、シルヴィアはそれ以上に「朝の楽しみ」に心が弾み、ようやく外が明るくなろうとする頃には気合を入れてベッドから離れた。
 長い髪を綺麗に結うのは後。朝一番はざっくりと一つにまとめて、すとんと着れる一枚布のワンピースにニットのボレロ、動物の皮が内張りしてあるブーツ、そして厚手の圧縮ニットのポンチョを着て部屋を出る。
 一晩中火を絶やさない女中の詰め所に寄って少し温まってから、シルヴィアはセイレーン城の二階バルコニーに出た。
 ここ三日ほど雪がちらちらと降って、地面をほんのうっすらと覆いだした。あと何日かすると、ちらちらどころかどっさりと雪が降るだろうと城下町の人々から聞いた。
「はあーーーーさむうううううううう」
 息が白い。鼻があっという間に冷たくなる。
 シレジアの人々は「まだミトンは早い」とシルヴィアを笑うが、朝晩は寒くてつい手袋をしてしまう。
 基本的に彼女は、厚手の重たい服が苦手だ。だから、コート類は仕方ないとしても、その下に着る服はシレジアらしくない、薄い布の服を重ねる。重ねた分は空気の層が出来て温かいけれど、それでごまかせないほどに外気は低音だ。だから、手袋をする。手や手首が温かいと全然違う、とシバルコニーからは、セイレーン城前のだだっ広く殺風景な広場が見え、遠目に城下町も見える。が、シルヴィアが見たいのはその景色ではない。
 朝陽は冷たい空気の中できらきらと輝く。夜の間溶けずに固くなっている、うっすらと白い膜が僅かにかかった世界。


このあと天馬にのったフュリーや護衛天馬騎士団とレヴィンがバッサバッサと帰ってくるのを発見する流れ。

おわり\(^o^)/



【トリオピボツ原稿】
 ここ最近ずっとトリスタンは悩んでいた。周囲から見れば、政務についての悩み、新生ゼノビアのことを考えてのことと思われるだろう勢いで、朝から晩まで難しい表情を続けている。
 戴冠式が近づいているからだ、と人々は噂していたし、戴冠式と共に婚礼を行い、妻になるメイシィも彼の様子を心配していた。何を悩んでいるかと聞いてもトリスタンは答えず、ただただ「いや、もう少し一人で悩ませてくれ」と言われる始末。
「ああー……どうしたら」
 どうしたら、メイシィと子作りを出来るのか。
 真顔でそんなことを人々に言えば驚かれるかもしれないが、実際それは新生ゼノビアのことと深く関係が……ないとは言えないことであり、目下トリスタンの心を朝から夜まで占めている問題なのは間違いがない。
 まだ婚礼前だから、婚前交渉は駄目。
 それはわかっている。が、彼を悩ませるのはそのことではない。それはわかった上でのことだ。
 いくら婚前交渉がNGとは言え、恋人同士だ。しかも、昨日今日の付き合いではない。キスの一つや二つはしているし、寸止めでもいいからあれやこれや手を出してそれなりにメイシィの肌には触れている。
 あまり大きな声では言えないが、経験がないわけではない。ゼノビア皇族の嫡子を世に送り出すわけにはいかないから、そこはまあご都合主義なあれやこれやの薬だとかなんとかで奇跡的にスルーしているものの、とにかく、彼は既に性交の快楽を知っている。だから余計に思いが具体的につのるのだが。
 問題はトリスタンではなくて、メイシィの方だ。
 婚前交渉云々の問題ではなく、とにかく、ひたすら、ある程度までのスキンシップ――というほどのライトなものではないが――を超えると、彼女は頑なに「これ以上は」とトリスタンを止める。そして、トリスタンは悲しいまでに彼女に甘くて弱い。だから止める。頑張って止める。ゼノビア男子寸止め選手権なんてもんがあったらかなり上位に自分は食い込める自信もある。いや、それは置いて。
 問題なのはメイシィが、どうにもこうにも敏感すぎるということだ。
 きっと人に言えば「それの何が困るんだ」と言われるに違いない。実際、トリスタンも最初は戸惑いながらも、どこに口づけを落としても体を震わせるメイシィが可愛くて、これはなんというサムシングかと思った。だが、そこから先に大きな問題が待ち受けていた。
 メイシィの声が出る。
 すぐに出る。
 必死に我慢させるけれど、出る。
 しかも、びっくりするほど可愛らしくも艶のある声が。
 重ね重ね言うが、これもまたなんというサムシング、神よ、ああ、この場合どの神に礼を言えば良いかわからないが、神よありがとうと思ったのだ、トリスタンも。我慢させればさせただけ、不意に漏れる声はトリスタンの劣情を煽る。だが……。

「声が、出てしまうのが、恥ずかしいです」

 うん。そういうものだ。わかる。トリスタンだって夢中になったらもしかしていくらか声が出るかもしれない。それをメイシィに聞かれるのは若干恥ずかしい。

「部屋の外には、見張りの方がいらっしゃるでしょう」

 そこか、とトリスタンはうなだれる。そればかりはどうしようもない。常に護衛がいる生活はこの先続くだろうし、それは皇族の義務の一つでもある。人払い出来なくもないが、それはイコールことが終わったら「終わったから戻れ」と声をかける必要もあるということだ。それはそれでメイシィは嫌がるに決まっている。
 じゃあどうしたらいいのか、と言えば答えはない。声が出ないようにことに及ぼうかとも思ったし、メイシィもそならばいいと言ってくれたが、根本的にそういうプレイをトリスタンは好まない。好まないし、第一メイシィの声を彼は聞きたいのだから本末転倒とも言える。だからといって、最初から最後までキスをしながらなんて、それは一体どんな耐久レースだ、とも思う。
「仕方がない……あの部屋だけは使いたくなかったが、腹をくくるか……」
 そう呟いて、トリスタンはウォーレンを呼んだ。




※メイシィ連れて来て、部屋の説明とかあれこれ

「ここなら、防音になっているから安心だよ」
「……そんな部屋があるなら、最初から」
「いや、そのね……ここ、大体歴代のゼノビア王と王妃の特別な部屋でね」
「はい」
「……要するに、そういうことで、なんというかね」
「……随分生々しい話ですね……」
「うん。だからねえ、あんまり使いたくなかったんだけど、ここまで来たら仕方がない」
「っ……」
 メイシィは言葉を失った。
「ここなら、どれぐらい君を愛しても、君がそれにどれだけ答えてくれても、聞く者はいないよ」
「でっ、でも、ここにわたし達がいるっていうことは」
 当然部屋の外には護衛がいるわけだし、部屋の用途が「そういうもの」だと知っていれば……
「この部屋がどういう部屋なのか知っている人間は極少数だから、声さえ漏れなければ大丈夫。扉が空いてもすぐに寝室は見えないし、ただ僕ら二人が二人の時を過ごすための部屋だと思われるだけだ」
「そ、そうですか……」
「というわけでメイシィ、この部屋が本当に防音かどうか、試してみようじゃないか?」



いいところで終わり\(^o^)/


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