旅の終わり

作者:蕾華

モドル
ゼムスを、そしてゼロムスを、倒した。
わたしたちはずっと、その為に旅をしてきた。だからそれは、当たり前といえば当たり前のことだ。
どんなに長い旅だって、いつか終わりが来る。それは、当たり前のことだ。
だけど、わたしの旅は本当に長かったから。本当に本当に長かったから。
そのせいなのかな。なんだかわたしは、そのことが信じられないような気持ちだった。
長かった旅が終わる。ゼロムスを倒して終わる。
それは嬉しいことのはずなのに。喜ぶことのはずなのに。
ううん、決して嬉しくないわけじゃない。
だけど嬉しい気持ちよりも、もっともっと、わたしはびっくりしていた。
びっくり……ううん、違う。
私は、呆然としていた。
当たり前のことなのに、わたしはどこかで、やっぱりこの旅にいつか終わりが来ることが、わかっていなかったのかもしれない。

だけど、少しずつ、わたしにも現実というものがやってくる。
バハムートにお礼と、お別れを言いに行って。
ハミングウェイさんたちにも、お別れをして。
魔導船の窓から、離れていく月と、そしてそこにいるはずのフースーヤとセシルのお兄さんにそっと手を振って。
デブチョコボにもお別れの挨拶をして。
そして、海に帰っていく魔導船を見送って。
そうして、わたしの中に、少しずつ少しずつ、この旅の終わりが降り積もっていった。
ああ……そうだ。
本当に、終わるんだ。

普通にしてたつもりだけど、エッジの目にも、わたしはぼうっとして見えたみたいだった。
「熱でもあんのか?」一度、そんなことを言われた。
軽い口調だったけど、顔は少し心配そうで。わたしは心配されるような顔をしているのかと苦笑した。
「なんで? 元気だよ」そう返事したわたしの顔を、確かめるようにエッジはしばらくじっと見て、それからいつものようにわたしの頭をくしゃっと撫でた。
わたしがまだ、現実を受け止めきれないでいることが、わかったのかもしれなかった。

ミシディアに帰ってきたその日は、パーティーだった。
わたしたちの帰りを待ってくれていたみんなは、大喜びの大賑わいで、わたしたちは……特にセシルはそれはそれはもみくちゃにされた。
たくさんのごちそうが振る舞われて、笑い声が絶えなくて。
とてもとても楽しかったけど、その時間も、わたしの中に旅の終わりのひとつとして降り積もった。
現実感のなかった旅の終わりが、わたしの中で少しずつ現実味を帯びていく。
これは夢じゃなくて、現実で。
旅の終わった明日を、わたしは歩いていかなくちゃいけなくて。
明日はもう、旅の続きじゃなくて。

パーティーが終わったのは、夜遅くのことだった。
テーブルからテーブルを跳ね回るようにはしゃいでいたパロムが、こっくりこっくりと舟を漕ぎ始めて、パーティーはお開きになった。
みんな、用意してもらった部屋に引き上げていく。わたしもみんなに挨拶をして、用意してもらった部屋に向かうことにした。明日、ファルコンで送ってもらえることになっている。
そうやって、みんな帰っていく。
旅が終わって、自分のおうちに帰っていく。
そして、わたしは……
「よお」
そんな風に声を掛けられて、わたしは足を止めて、顔を上げた。
わたしの用意してもらった部屋の前。当たり前のように、エッジが立っている。
多分そうだろうな、と思っていたからわたしは驚かなかった。
わたしは、エッジと話をしなければいけなかったからだ。
止まった足をまた動かして、わたしは部屋の前……エッジの前に行く。
そうして、エッジを見上げて、ちょっと首を傾げた。
「えと……どうする? 部屋、入る?」
わたしの言葉に、エッジは少し躊躇して、それから首を横に振った。
「……や、外で話そうぜ」
エッジの言葉にわたしは深く考えずにこっくりと頷いた。
「うん、わかった」

外に出て、少し歩いて、声の大きさとか、気を使わなくてもよさそうな程度に建物から離れたベンチに、並んで座った。
「あ、寒くねーか?」
座ってから思い出したようにそんなことを言うエッジに、わたしは首を横に振る。
「ううん。平気だよ」
「そっか」
「ん」
短い会話。そういえば、こうやって二人だけでゆっくり話すの、少し久しぶりかもしれない。
考え考え、わたしはゆっくり口を開いた。
「旅、終わったね」
「ああ」
「エッジは、エブラーナに帰るんだよね」
「そーだな」
やっぱり短い会話。だけど、別にそっけない感じはしない。
わかってる。引き伸ばしているのは、わたし。
「わたし、ずっと保留にしてたけど」
「…………」
「もう、答え出さなきゃ、いけないよね」
「……答え、出たのかよ」
わたしには、ずっと保留にしていたことがあった。
それは、ゼムスのもとへ向かう前。
一度、エッジはわたしを置いていこうとした。それで少し気まずくなって、その時に、その……わたしは、エッジから「告白」というものをされたのだった。
エッジは、わたしが大事だから、わたしのことを、安全な場所に置いていこうとしたんだって。
そして、その「告白」の返事を、わたしはずっと、保留にしていたのだ。
エッジとのこの関係が、変わってしまうのが怖かった。居心地のいいこの関係に甘えていた。
自分の感情に名前をつけることが怖かった。
だけど、もう旅は終わってしまったから。いつまでもこのままではいられない。
「旅が終わったら、どうしたいのか、ずっと考えてたの」
考えてたけど、実際その時が来たら、わたしの足はすくんでしまうんだけど。
頭で考えることと、現実は、やっぱり違うんだけど。
だけど一応、わたしだって、ずっと考えてはいたんだ。
「ずっとみんなと一緒にいたいけど。それはかなわないから。
だから、ずっと考えてたの」
かなわない未来じゃなくて、かなうかもしれない未来を。
わたしの一番いたい場所を。わたしが一番一緒にいたい人を。わたしが一番なくしたくないものを。
わたしは、ずっと考えていた。
「わたし、ね。エッジの手、好き」
そう言うと、エッジはがくっと肩を落とした。
「手だけかよ」
エッジはどうやら本気で落ち込んでるみたいで、わたしは慌てる。
「ちが……っ! 誰の手でもいいわけじゃなくて!
エッジの手だから、好きなの!」
わたしのほっぺたをつまむ手。時々強引に抱きしめてくれる手。いつも頭をくしゃくしゃにする手。
わたしが一番なくしたくないもの。考えた時、真っ先に思い浮かんだのは、いつもわたしに向かって伸びてくる、エッジの手だった。
「だから……ね。多分、わたしはエッジのことが……好き、なんだと、思う」
わたしの言葉に、エッジは今度は苦笑した。
「多分かよ」
だけどその声の調子は、さっきの本気で落ち込んでる感じと違って、大分余裕が出てきたように思える。だから、わたしも少し緊張が解けた。
多分。その言葉は、エッジには逃げているように思われちゃうのかもしれない。
でも、わたしは全然そんなつもりはなくて。
本当のことを言えば、やっぱりわたしは「好き」という気持ちがよくわからない。
セシルが好き。ローザが好き。カインが好き。そんな好きなら、迷わない。
わたしは間違いなくエッジが好きで、だけどエッジの望んでいる「好き」はそんなものじゃないんだろう。
だからわたしにはやっぱり「多分」としか言えない。
「ごめん……だけど、やっぱり、それが今の一番正直な気持ちなの」
多分、好き。
ずっと保留にして、待たせていたエッジに対する、返事がこれ。
自分でも、ちょっとあんまりだとは思う。
だけど今のわたしには、エッジにこれ以上の返事をあげられない。
「それで?」
じわじわと申し訳ない気持ちになって、うつむいてしまったわたしに、エッジは静かに声を掛けた。うつむいたまま、わたしは目を瞬く。それで、って?
「それで、これからお前は、どうするつもりなんだ」
ああ、そっか。
まだその話をしてなかった。
「うん。考えたんだけど……」
そう言い掛けて、わたしは口をつぐんだ。
自分がどうしたいのか、わたしはずっと考えていた。
かなうかもしれない未来の中で、自分が一番どうしたいのか。
だけどそれはやっぱり、さっきの「多分、好き」と同じくらいわがままな言い分で、わたしは口に出すことをためらってしまう。
「言えよ」
静かな声で、エッジに先を促されて、わたしはおずおずと顔を上げた。
怒っているわけでもない、楽しそうな顔でもない、諦めているわけでもない、声と同じくらい静かな顔で、エッジがわたしを見ていた。
背中を押されたような気がして、わたしは恐る恐る自分の気持ちを言葉にする。
「あの、ね……わたし、エッジと、一緒にいたい。
……だけど、しばらく待ってほしいの」
ずっとずっと考えていた。
わたしの一番いたい場所。わたしが一番一緒にいたい人。わたしが一番なくしたくないもの。
それは結局、全部、全部エッジだった。
正確には、エッジの手なのかもしれないけど、それを言ったらまたエッジは落ち込みそう。
だけど同じくらいに、わたしには大事な場所があって。気にかかる人たちがいて。
だからやっぱり、わたしはエッジにあいまいな返事をする。
案の定、わたしのあいまいな答えにエッジは眉を寄せた。
「しばらくって、どれくらいだよ。大体、どこ行くつもりだ」
そう聞いたけど、多分エッジには、半分は答えがわかってる質問だったと思う。
「幻界に行きたいの。どうしたってあそこは、わたしの大事な場所だから」
故郷、と言われれば、まっさきに思い浮かぶ場所は、ミストだ。
だけど、帰る場所、と言われれば、思い浮かぶのは幻界の方だった。もうミストは、わたしの帰る場所じゃない。
「待っててくれてる人たちがいるの。心配してくれてる友達も。だから、一旦は、どうしたって帰らなきゃいけないの」
そう言ったけど、エッジの眉は寄せられたままだ。当たり前かもしれない。その答えは、エッジは知っている方の質問なんだから。
でも、もうひとつの質問には、ちょっと答えにくい。わたしの中でも、はっきりとした期間が決まっているわけじゃないし。
だけど、エッジを心配させたいわけじゃないから、わたしは言葉を探す。
「……あんまり長いこと、待ってもらうつもりは、ないよ?」
エッジが心配していることは、多分、わかる。こっちの時間と、あっちの時間の流れ方の違いを心配してるんだろうと思う。
「エッジの歳を追い越しちゃうくらいいるつもりはないから」
「たりめーだ!」
心配させないようにそう言うと、食いつくように言い返された。こういうのを間髪入れずって言うんだろう。
「だから、えっと、どうしよう」
「ちゃんと、期間決めろ」
どう説明したらいいかわからなくて、また言葉を探すわたしに、少し拗ねたようにエッジは言った。
「え?」
「お前、ほだされやすいからな。向こうの連中に行くなとか引き止められたら、決意が鈍りそうだろ。だから、ちゃんと決めてけ」
そんなことは絶対ない。……とは言い切れなかった。
もう行かないで、と言ってくれる友達は、実際いた。あの世界に帰って、時を過ごすうちに、ずるずると引き延ばしてしまう……そうならないと、言い切る自信はなかった。
エッジと出会ってから、初めて長い時間離れ離れで過ごすことになるんだ。もしかしたらわたしは、エッジの手のない日常にも、いつか慣れてしまうのかもしれない。
そんな可能性が頭に浮かんで、なんだかわたしは申し訳ない気持ちになる。
わたしは決して、そんな風になりたいわけじゃない。
だけど、期間、期間……ああ、こんなことなら、もっとちゃんと、前もって考えておくんだった。
ぐるぐるとしばらくわたしは考えて、その間、じっとエッジは待っていてくれて、そしてわたしは閃いた。
「……戴冠式」
「あ?」
それは、さっきのパーティーの時に上がっていた話題のひとつ。
「ほら、セシルの戴冠式。2,3ヶ月中にやるって言ってたじゃない? その時。その時には、こっちに戻ってくる。
……それじゃあ、だめ?」
2,3ヶ月中。幻界の時間で、2,3年。それは十分な時間だと思えた。
その時のわたしは、19歳か20歳。エッジの歳だって、全然追い越さないし。
自分でもいい考えだと思う。そう言って、エッジを見上げると、やれやれとエッジはため息をひとつついた。
「仕方ねーな。……これで貸しにしといてやるよ」
これ? 貸し?
何のことかわからなくて、きょとんと目を瞬くと、ぐいっと肩を引き寄せられた。そして。
「!?」
唇に温かいものが触れて、そして離れていく。
「…………」
瞬きをもうひとつ。理解は遅れてやってきて、わたしはばっと口を押さえた。
「〜〜〜〜〜〜〜!?」
ななななな、一体、なにを。
わたしの様子に、ぶはっとエッジは噴き出す。
「なんつー顔してんだよ」
そんなこと言われても。
「だだだだだ、だって。いいいいま、何を」
「いーだろ。恋人同士なんだから、これくらい」
なんですって!?
「ここここ、こい、びと!?」
上ずっていた声が、とうとうひっくり返った。わたしの驚きように、エッジがなんだかものすごく不本意そうな顔をする。
「お前な。今更違うって言ったら、本気でへこむぞ」
だだだ、だって。恋人?
わたしとエッジが、恋人?
恋人同士と言われてわたしが真っ先に思い浮かべるのは、もちろんセシルとローザの二人だ。
あの二人と、わたしたちは全く違うと思う。
だけど、改めてそんな風に言われて、考えてみたら。
エッジはわたしのことが大事……らしくて。
わたしもエッジのことが多分、好きで。
しばらく待ってもらわなきゃいけないけど、わたしはエッジと一緒にいたいと思っていて。
ということは……違わない……のかも、しれない。
だけど、わたしとエッジの関係に、そういう名前がつくのは、なんていうのかな、すごくむずむずした。
「こい、びと……」
小さく口の中でその言葉を転がすように確認していると、エッジが本気でいじけたような顔をする。
「嫌なのかよ」
嫌? わたし、嫌なんだろうか。
少し考えて、ためらいがちにわたしは首を横に振った。
「……ううん。嫌、ってわけじゃ、ない」
むずむずするけど、嫌じゃなかった。だけどなんていうか……しっくりこないっていうのかな。
ちょっと居心地の悪い感じがして、わたしは身じろぎする。
むずむず、むずむず。この感覚を、なんて説明したらいいだろう?
「なんていうのかな、恋人、って言葉はもちろん知ってるんだけど。
その言葉が、自分に当てはまるイメージっていうのかな。それが今まで、全然なかったから。
だから……うん、びっくりしたの」
多分、そういうことなんだと思う。
「はーん。なんだ、そういうことか」
わたしの説明に、なんだかエッジは意地悪そうな顔になる。知ってる、エッジがこういう顔をする時は、何か絶対良からぬことを考えてる。
身構えたわたしに、エッジは意地悪そうな顔のまま、にやりと笑った。
「そういうことなら話は簡単だ。
違和感がなくなるくらい、恋人らしいことをすりゃあいい」
エッジの言葉に、わたしはぽかんと口をあけた。
「なにそれ!? どういう理屈」
「こんなこととか」
「きゃあっ!?」
言うなり、エッジの腕が伸びてきて、わたしはぎゅうっと抱きすくめられた。
「ちょっ、エッジ!」
これ、絶対調子乗ってるよね!?
じたばたと抵抗しようとするわたしを制するように、エッジはぎゅうぎゅうと強い力で抱きしめてくる。片方の手が、くしゃりと頭を撫でて。
そして、耳元でぼそりと呟かれた。
「そんで、俺が傍にいない間、寂しい思いをすればいーんだよ。
俺ナシではいられないんだって、思い知ればいい」
「なっ……」
なにそれ!
意地悪な言葉に、わたしはむっとした。反射的に、エッジがいなくても平気ですよーだ、なんて可愛くない言葉が喉の奥から出かかった。
だけど、その言葉は声にならない。だってそれより前に。
「俺は、寂しい」
「…………!」
そんな言葉を、エッジが言うんだもの。
思わぬ言葉に、わたしは目を瞠る。ほんとに? ほんとに、エッジは寂しい?
そっと顔を上げてエッジの様子をうかがうと、エッジと目が合った。
エッジの顔からは、意地悪げな表情は消えていて、かわりに浮かんでいたのは、なんだか情けないような、そんな表情だった。
「……わたしも、寂しいよ?」
ぽろりとわたしの口から、そんな言葉が漏れる。
思わずこぼれた言葉だったけど、それはまぎれもないわたしの本心だった。
エッジのいない日常に、慣れるのかもしれない。そんな可能性が、さっき頭を過ぎったりしたけれど、きっとそんなことはないだろうと、今は思う。
だって、抱き寄せてきたエッジの腕は、あんなに強引だったのに。
それなのに、抱きしめる腕も、頭を撫でる手も、伝わる体温も。全部全部、しっくりと馴染んで、なんだか無性に安心した。
じたばたと抵抗するのをやめて、そっとエッジにもたれかかる。「やれやれ」とエッジが呟くのに、首を傾げた。
「こんな無防備に体預けてくるくせによ、多分好きとか言うんだもんな」
……なんか、根に持たれてるっぽい。
「う。だって……」
ぼやくようなその言葉に、なんだかばつが悪くて、言い訳がましく弁解しようとしたけれど、だっての後が続かない。
だって、わからないものは、わからないんだもん。
だけど。だけどね?
今度会えた、その時には、きっとわかるような気がするの。
エッジに会えない毎日を過ごして、この腕が、隣にいてくれることが、決して当たり前のことじゃないって痛感したら。
わたしはきっと、この感情に、名前をつけられるようになるんだと思う。
覚えておかなくちゃ。
この腕のこと。髪に触れる感触。伝わる体温。
覚えていればいるほど、きっとわたしは寂しいんだろうけど。
「好きだよ」
記憶に刻み付けるように目を閉じると、耳元にエッジがそんな言葉を落とした。
驚いて目を開けると、いつのまにかエッジは明後日の方向を向いている。
「ちゃんと言ってなかったような気がしたからな。言っとく。
幻界まで持ってけ」
「…………」
そっぽを向いたまま伝えられた言葉に、胸が一杯になって、わたしは何も言えなかった。返事しなきゃと思うのに、胸が詰まって言葉が出てこない。
かわりに目の奥が熱くなって、じわりと涙がにじんだ。
「あの、ね? わがままばっかりで、ごめん、ね?
ちゃんとわたし、戻ってくるから。
ここに……エッジのとこに、帰ってくる」
「たりめーだ。帰ってこねえなんて言ってみろ。行かせねーからな」
涙が邪魔をして、震える声で、やっと伝えた言葉に返ってくるのは乱暴な返事。
だけど、わたしの頭を撫でるエッジの手は、相変わらず優しくて。
そんなことを言うけれど、わたしが本当に願ったことなら、エッジは尊重してくれるって、わたしは知ってる。
だからわたしは、ぎゅうっとエッジにしがみついて、言った。
「約束、する」

これが、わたしの旅の終わり。最後の夜。
そうして、わたしが約束を果たすのは、2年後……こちらの世界の時間で、2ヶ月後のことになる。


モドル

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