柔らかな磨耗-3-


お茶は、いつも通り熱くていいのね?というローザの問いに、エッジは「ああ」とも「うん」ともつかない、曖昧な声で返事をした。
特に聞き返すこともなく、ローザは手際よく二人分茶器を取り出し、茶を入れる用意をする。
「も、ほんと、エッジって・・・」
シェルターが並ぶフロア側にいながらも、少し離れた場所でぶつぶつとローザが珍しくも呟く声が聞こえて、エッジは声を殺してくっく、と喉の奥で笑った。そうやってローザの本音が外に流れ出ている様子も、悪くないものだ。
思えば、たまに愚痴を漏らすローザの姿が嫌味ではないのは、きっと本当はそれもそっと隠して置きたい部分なのに、つい漏れてしまった、という風情があるからなのかもしれない、とエッジは思う。
かちゃ、かちゃ、と、あまり大きくない音を遠くに聞きながら、エッジはひとつの回復シェルターのタイマーを切った。
通常は一度タイマーをセットして眠れば、中に入っている人間はそれを動かすことは出来ない。
が、外からは止めるか、時間を短くすることだけは可能なのだと、彼らは知っている。
それは、初めて使った時に不用意にいじった状態で入ったリディアが、いつまでたっても起きてこなくて、みなで慌ててあれこれいじった、という経緯があるのだが・・・。
しゅん、と回復シェルターの薄い――けれども、防音だけは完全な――ドアが開いた。
その音に、茶をいれているローザは気付いていないようだ。
「う・・・ん、あれ?エッジ?」
「おう。はよ」
シェルターの中から、むくりとセシルが上半身を起こす。無理に予定よりも早く起こされたためか、彼は少しいつもの寝起きよりはぼんやりとしていて、首を左右に曲げてから体を伸ばした。
「・・・何。これ、明らかに、無理矢理起こされたって感じだけど」
シェルター側が判断する「適正な睡眠時間」眠った後や、眠りにつくときにシェルターに伝えるタイマーから算出した「睡眠時間に合わせた適正な疲労回復」が行われた後ならば、こんなけだるい目覚めではない。
それを即座に理解出来るほど、既に彼らはこの魔導船の回復シェルターに慣れてしまっている。
「とりあえず出て来い。ローザが、茶あ淹れて待ってる」
「ローザが?」
セシルのその声が聞こえたようで、それまで小さくしか聞こえなかったローザの作業音が、突如「がちゃん」と高い音をたてた。そして、その音に自分で驚いたように、ローザは小声で「あっ」と発して息を飲む。
もちろん、シェルターで眠っているカインやリディアにはまったくその音が聞こえないのだから、気にする必要もないのだが。
その隙にエッジは慌ててブーツをその場に投げ捨てて、自分のシェルターに素早く潜りこんだ。
「うわっ、と。じゃあな、俺も、もう一眠りするから!」
「ちょっと・・・エッジ!」
茶器を置いてローザがすっ飛んでくるよりも早く、エッジが入ったシェルターのドアが閉まった。
もちろん、彼もタイマーを手早くセットしていたけれど、それだって当然外から解除が出来ると彼は知っているはずだ。けれど、そうはならないだろうとエッジは思いながら、中で横たわる。
シェルターの中は体が包まれるほど柔らかなクッションになっており、呼吸だけ自分で整えれば、穏やかに睡眠へと導かれる。
ブーツを脱いだだけで、あれこれと身につけたままの状態ではあったが、タイマーのセットはたった一時間半だ。その程度の時間ならば体に負担は多くはないだろうし、二人の話もそれなりに決着がついているだろう、とエッジは思う。
(やべ。すぐ、眠くなる)
彼の予想通り、ローザは無理にエッジのシェルターを開けようとはしなかった。
すぐに遠くなっていく意識の中、エッジは、起きぬけのぼんやりしたセシルの顔を思い出して、ふっと口元を緩めた。


一時間半後、ぴったりにエッジは目覚めた。
魔導船の中では、先ほど彼が眠る前にローザが茶を出したテーブルの前に、セシルが一人でぼんやりと座っていた。
「やあ、おはよう」
「あよー・・・おめー、寝ないで、いいのかよ」
「うん。すぐ寝るよ」
シェルターから出て、ごそごそとブーツを履くエッジ。
ふと、自分が寝る寸前に、そのブーツを大層乱暴に脱ぎ捨てていたことに気付いた。
それなのに、きっちりそろえて並んでいたということは、ローザの仕業に違いない。
ならば、きっと彼女はエッジの行為を怒ってはいないのだろう。
「なんで、俺を待ってた?」
「みんながいるところで、礼を言うのも変かなぁ、と思ってね」
「あー、そりゃあよかったな」
エッジのそれは大分乱暴な言い草であるが、セシルが礼を言うということは、ローザとうまく話し合いが出来たという意味だと彼は捉えたのだ。
もちろん、セシルの方もそれをわかっていて
「うん」
と、さらりと答える。
エッジは、自分からは多くは聞かない。根掘り葉掘り聞くのは好きではないし、それに、単に「男らしくない」とも彼は思うからだ。
それを察したのか、ただ聞いて欲しかっただけなのか、セシルは前置きもなしにぽつぽつと話し出した。
「僕は、駄目だね」
「んー?駄目って何が。ローザに対して?」
エッジのその反応で、彼がすっきりと目覚め、すぐにでもそういった会話が出来るほどの状態になっているとセシルは判断する。
まったく、この魔導船のシェルターの機能というものは優れ過ぎていると思う。
先日、一度ミシディアに戻って普通のベッドで眠った時のこと。
誰もがこのシェルターのような目覚めの爽快感が少なく感じたほどだ。
もちろん、逆にそれがちょっと恐ろしくもなったのだけれど。
セシルは少し言葉を考えるように間を置いてから、続きを話す。
「うん・・・時々、ローザがあんまりにまっすぐ深く僕のことを思ってくれていることに・・・なんていうんだろう。悪い意味じゃなくて、素直に・・・どうしよう、って思う」
「どうしよう、か」
既に茶器は綺麗に片付けられていたけれど、セシルはじっとその場に座ったままだったらしい。
「うん。どうしたらいいんだろうって思うよ。僕に出来ることは、ローザを大切に思うこと、ローザを守ることだと思っていた。だけど、それはかなり、悲しいことに一人よがりだったようだね」
「そこまでは、ねーだろ!なに、お前まで卑下してんだよ。お前ら、傍から見ても嫌になるほどアツアツのカップルだってのに」
「かな?」
セシルは、泣き笑いの表情をエッジに向けた。
エッジはセシルの向かい側の椅子に座りながら、ピッチャーから水をグラスに注ぎ、一口ごくりと飲み込んだ。
「そんなこと言ったら、ローザは悲しむだろ」
「うん。悲しませてしまった」
「はっ、お前、バカ正直にんなこと言ったのか!?」
「言っちゃった。だけど、必要なことだったから」
そういってセシルは軽く肩を竦めて見せた。その彼の表情には、悩んでいる様子がないようにエッジには見える。
「は・・・」
「僕は、どうしていいかわからなくなるくらい、ローザのことが好きで」
「・・・」
「どうしていいかわからなくなるくらい、彼女からの愛情を感じ取っているのだと思って」
その言葉に、エッジは一瞬呆気にとられてセシルの顔をまじまじと見た。けれど、セシルはそれに臆することなく、静かにエッジを見ている。
ついに、エッジは耐え切れなくなったように、叫んだ。
「・・・カーーーーーッ!!なんだそりゃー!人が起きる時間まで待って、ノロケかよ!」
「あはは」
「あはは、じゃねーよ!」
「あはは」
「あはは、じゃねーっつってんの!」
「エッジ」
「なんだよ!」
「ありがとう」
不意打ちに近いその言葉に、エッジは喉を閉めて、ぐっと息を止めた。
ありがとうという言葉が大切なものだとは知っているけれど、男同士で面と向かって言い合うことは、なかなか照れ臭くもある。
そのエッジの様子がおかしかったようで、セシルはもう一度「ははっ」と軽く笑って、立ち上がった。
「僕は、みんなと帰るよ。月の民の血が流れていても、僕を育ててくれたのは、あの大地とそこに生きる人々だ。それらをなくしてまで手に入れたいものは、この先ないと思う」
「・・・そうか」
「気になっていたのは、自分の身の振りじゃあないんだ。父がこの地を離れたことで、全てをフースーヤが担うことになってしまったのに、それがどこまで続くのだろうかと考えたりしてね」
「ああ・・・」
「それを思うと、無理をしてでもフースーヤ達に追いつきたくなって、焦る自分がいて。でも、ゴルベーザが・・・兄がついていくと行った時に、フースーヤは僕を誘わなかった。それに対しても少しショックを受けていたり・・・もちろん、僕を思ってのことなんだろうと感じるんだけれど・・・色々とね。もやもやしていた」
「なるほど」
「それも、もう終わりにする・・・いや、明日にでも、終わりにしたい。だから、さすがにもう寝るよ」
そう言うと、セシルは自分のシェルターに向かって歩き出した。エッジはふと思い出したように、セシルの背に向かって話し掛けた。
「そういや、礼なら、まあ言う必要はないけどよ・・・最初に、ローザのこと気付いたのはリディアだ」
「リディアが?」
驚いた表情で、振り返るセシル。
「ああ。ローザが、お前を見る眼が違うってよ」
「・・・僕はまた、ローザの方から、君に相談でもしたのかと思ったんだけど」
ああ、なるほど、とエッジは心の中で呟く。
確かにこの一時間半だけの恋人同士の話し合いの時間では、一から十までを全て説明するには至らなかったのだろう。
「っていうことは、リディアが君にそれを話して・・・エッジから、ローザに話を聞きだしてくれたのか」
「んー?まあ、そうっちゃそうかな」
「・・・ってことは、下手したらずっとローザは抱えていたのかもしれないってことだよね」
「だな」
「はー・・・まいった」
セシルはそう呟くと、その場にしゃがみこんで頭を垂れた。
その様子に、今度はエッジが笑う番だ。
「ははは。反省中か?」
「うう・・・猛烈に反省をしている。本当に、僕は色々といたらない男だなあ」
「そんなこた、俺もわかってるから、ローザなんてもっとわかってるだろう」
「だからといって、僕はそのままでいたいわけじゃあないんだよ」
「そんなもん、簡単に直るなら苦労しないだろ」
「・・・やっぱり、そうかな?」
「俺くらいのいい男になるにゃ、まだ若いってこった」
「・・・えーと・・・別にエッジみたいになりたいとは」
言ってない、とまでは口にせずに、セシルは顔をあげて苦笑を見せた。
「でも、ちょっとだけ思った。エッジは、やっぱり僕らの中ではさすがに一番年上だ。色々、助かったよ」
「だろ」
「リディアの前じゃ、僕らより年下みたいだけど」
「うっせ!さっさと反省しながら寝ろ!」
「ははっ、冗談だよ。おやすみ」
「あいよ、おやすみー」
セシルは小さくエッジに微笑むと、ブーツを脱いで揃え、タイマーセットをした。
エッジはセシルから視線を外してもう一口水を飲む。丁度、グラスをテーブルに置くと同時にシェルターが閉まる音が聞こえた。
結局セシルは、ローザと何をどう話したのかをまったくエッジに告げないままだった。
けれども、それでいいとエッジは思う。
エッジがそう思ってくれるだろうと、多分セシルもわかっているのだろうし。
「明日にでも、終わりにしたい、か」
それは、自分の心に区切りをつける、という意味にもとれるけれど、明日には地下渓谷の最深部に辿り着くつもりにも聞こえる。
そのどちらでもいい。セシルが、そう決めたならば。


まず、カインが。それからリディア、ローザと目覚め、セシルは少しゆっくりとした目覚めとなった。
相変わらずローザは起きて身支度を整えると、リディアの後頭部に絡まっている毛を梳いてやっている。
おはよう、と交わした後に、まるで何もなかったかのような日常の光景。
エッジもまた、いつも通りに朝食をだらだらと待っている。それへローザが慌てて声をかけた。
「少し待ってね。今、すぐ作るから」
「いつも悪ぃな」
「何言ってるの、そんなこと」
くすりとローザは笑って、まるでついでのように告げた。
「セシルには、あなたが普段飲むお茶の温度は、熱すぎたわ。ああいうことするなら、初めからちゃんと教えて頂戴」
「・・・・はっ」
一瞬ローザの言葉の意味がわからず、エッジは目をぱちくりとした。それから、失笑気味に声をあげ、
「どーせ俺は、茶が美味い温度とかわっかんねーよ」
とわざと拗ねたように返す。
ローザはそれへ軽く笑い返すと、調理を始めた。
「今朝は、リディアが好きな干し肉のスープよ」
「やったあ!ローザが作ると、お肉の塩っけが抜けて、食べやすいの。嬉しい」
少し離れた場所でのやりとりを聞いて、セシルは床に座っているエッジの傍にしゃがみこんで囁いた。
「ローザからの、お礼だね」
「あー、なんだ、起きてから、ローザに話したのか」
「さっき、耳打ちしただけなんだけど、彼女らしいね」
「お前の彼女は、よく出来すぎて、ほんと困るよ」
あまり手伝いが出来ないリディアは、保存がきく固いパンを一人二つずつ皿に取り分ける。
外の様子を見に行ったカインは戻ってきて、食事前なので兜をとる。
その、「いつも通り」に見える光景を、床に座ったままぼんやりとエッジは見ていた。
「リディア、お水も注いでくれる?」
「うん!」
調理の合い間に声をかけるローザの表情が、昨日よりも穏やかなものにエッジは感じる。
多分、この恋人達は、夜の間に何をどう話したのかをエッジには言わないのだろう。
それでいい、とエッジは思う。
「おーい、リディア、水一杯先にくれや」
「はぁーい」
エッジの声に反応して、水を注いだグラスをリディアは持って近づいてきた。
「はい」
「ありがとな」
前かがみになってグラスを差し出したリディアの頭を、エッジは優しく二度軽く叩いた。それからグラスを受け取ると、なんとなくその不自然さにリディアも気付いたようで
「何、急に。エッジ、変なの」
「何が変だよ。人が礼言ってんのに」
「だって変よ。ねえ、ローザ、水持っていってあげただけで、エッジったら頭ぽんぽんって叩くのよ!」
そう言いながらリディアはローザのもとに戻っていく。カインはエッジの方をちらりと見て、肩を竦めて見せる。それは「一体何をしてるんだ」という、他愛のない意思表示だ。
「そう?変かしら?」
「変よ?だって、セシルに持っていっても、絶対頭叩かないもん」
「じゃあ、セシルに試してみたら?」
そのローザの言葉を聞いて、エッジは口端を歪ませながらセシルを見た。
「ほんっと、お前の彼女はよく出来すぎて、困るっての」
「あははは」
「あはは、じゃねーよ!」
リディアは馬鹿正直に、グラスに水を注いでセシルに声をかけた。
「セシルー!喉、渇いてない?」
「ほらよ、ご指名だぜ、色男」
「・・・はは・・・うん。水、僕ももらえるかな」
セシルのその言葉は相当に棒読みではあったが、リディアは気にせずにグラスを持ってくる。その様子をちらりとローザは見たが、あまり気にした風も無く調理を続けた。
「・・・はい」
おずおずとセシルにグラスを渡すリディア。それを受け取ると、セシルはゆっくりと
「ありがとう、リディア」
と、心からの感謝の言葉を述べた。それは、水を持ってきてくれたことだけではなく、ローザに関することへの感謝の気持ちも篭っている一言だ。が、リディアの方は当然、そんなことを気付くわけもない。
エッジを見ながら、リディアは唇を尖らせた。
「ほら!セシルは頭叩かないじゃない」
「別にいーだろ!個人差なんだから!」
「個人差でも、頭叩くことないじゃない〜」
エッジからすれば、子供の頭をぽんぽんと叩くことは、スキンシップのようなものだ。それをやっているだけなのに、リディアにはその「好意」があまり伝わっていないのだろう。
まったく・・・とがっかりしながら、エッジは
「じゃあ、カインにも持っていってやれよ」
と、話を更に広げる。が、さすがのリディアでも、少しそれには躊躇を見せた。
それは、カインのことを苦手としている、などの理由ではなく、そこまで実験めいたことをするつもりはないのに、という気持ちの表れだ。
かといって、ここでカインにだけ試さないのも不自然か、など、リディアなりに気を使ったようで
「カインも、水いる?」
と、ついに聞く。
もちろん、それへの答えは
「いらない」
という素っ気無いものではあったが。
リディアはそれに対して、ほっとしていいものか、残念がらなければいけないのか、自分でよくわからないようだ。困ったようにエッジとセシルを振り返る。
「いや、そんな目で見られても」
エッジが笑いながらそう言うと、リディアはまた唇を尖らせてローザのもとへ歩いていった。
もちろん、エッジの隣に座っていたセシルも、くっく、と声を殺して笑っているのだが、そちらへはリディアのお咎めはないようだ。
「なんでおめーはいっつも被害受けないんだよ」
「人徳だよ」
「ざけんな!」
そんな男二人のやりとりを、離れたところで聞いていたのか聞いていないのか、皿を並べたトレイを持つローザが声をかけた。
「出来たわよ!お食事にしましょう」
その声に反応して、セシルもカインも、もちろんエッジも、ローザを見る。
「・・・」

ああ、いい顔してやがる

そのローザの微笑みは、「いつも通り」のものだった。
けれども、そこにいる彼女は「いつも通り」に見せたくて、そう振舞っている彼女ではないのだろう。
「やっぱ、好みなんだけどなー」
腰を浮かせながら、隣に彼女の恋人がいることを忘れて呟くと、それを漏れなくセシルは聞きつけた。
「リディアが?ローザが?」
「・・・ぐ・・・」
「まあ、どちらでもいいけど」
「いいのかよ・・・はいはい、ごちそーさん!」
エッジは、そのセシルの言葉を、「エッジがローザを好きでも問題がない」という宣戦布告にも似た、自信に満ち溢れたものと受け取り、呆れてそう叫んだ。
すると、何故かそんなところだけリディアが聞いていたようで
「エッジ、食べる前に、何言ってるの?」
なんてことを、ローザの傍で言う。
駄目だ、リディアには完全に負けた、とエッジは泣き笑いを浮かべる。
残念ながら、なんでもかんでもストレートに受け取ってしまうこの少女が、自分はどうしようもなく好きなのだ。
その隣にいる、何ひとつとっても好みだと思える美女ではなくて。
「ま、なんにせよ」
リディアは大好きなスープを目の前にして、朝からはしゃいでいる。
その様子は微笑ましく見えるが、テーブルの上に乗っている干し肉のスープには、深い感謝の思いがつまっていることを彼女はきっと知らないのだろう。そして、この先気付くこともないに違いない。
「朝っぱらから好物でよかったな」
「うん!」
エッジは、椅子に座りながらそう言って、ちらりとローザを見た。それへ、彼女は、とても彼女らしい柔らかい笑みを見せる。
隣に座っている無邪気な少女の喜びの声。美味しそうなスープの匂い。それらの幸せを感じながら。
もう、大丈夫だな、とエッジは軽くローザへ笑顔を返した。


Fin

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