騎士の驕り-5-

ソニア達はカオスゲート探索のため、本陣を離れた。
ありがたいことにあちらこちらから情報が集まったので、手探りというわけではない。
最も有力な情報は、コマヤグアという都市の人間が何人も、帝国軍の飛行部隊が空を目指して上っていくのを見たというものだ。
これはジェミニ兄弟の言葉が本当だという裏づけにもなったし、何よりも、場所をある程度特定出来たことでソニア達の負担はだいぶ軽減される。この情報がなければ、闇雲に広範囲にわたって時間と体力を消費しなければならなかったに違いない。
カオスゲート探しは、正直骨が折れる作業だ。
ソニアは以前よりだいぶブリュンヒルドをうまく使いこなしている。とはいえ、そのブリュンヒルドも万能とは言いがたい。
ある一定の距離に近付けば、ブリュンヒルドは勝手にカオスゲートを探し当ててくれるが、その「ある一定の距離」になるまでの労力は相当のもの。それこそ、ウォーレンの占いで場所を探してくれ、と無理難題を押し付けるのと変わりがないように思える。
その上、ブリュンヒルドが最初に伝えようとする微量な信号は、ソニアにしかわからないのだ。
カオスゲートにかなり近付けば、それはソニア以外のものもわかるほどの合図になる。たとえば、光るだとか、刃鳴りをあげるだとか。
けれど、ブリュンヒルドが感知するぎりぎりの場所での「カオスゲート、あるいは何かが近くにある」という知らせは、その主ソニア以外感じ取ることが出来ない。その時の移動角度によっては、それをソニアが一瞬無視しただけでカオスゲートから離れてしまう場合もある。
そういうわけで、ソニアはそのことに集中をせざるを得ないのだが、それはかなり精神的な消耗を彼女に強いる。
カオスゲート探しにカノープスが同伴した理由を、反乱軍の人間はおおよそ「予想外のことが起きた時にコカトリスではなくて小回りが利く彼がいる方が良いのだろう」とか「出かけるのに仲が良いカノープスと一緒の方が、ソニア様にとっては気晴らしにもなるだろう」ぐらいしか考えていない。だが、本当は、カオスゲートを探すときにソニアが神経を相当張り詰めるため、そういう状態を以前からよく知っているからなのだ。
わかっていてくれるカノープスがいるということは、ソニアにとっても気が楽で集中しやすくなる。もちろん、そんなことをわざわざ他の人間に説明はしないけれど。
ガストンはもともと多くは聞かない性質―何かにつけ、ソニアが気苦労していることを勘付いているため―なので、ソニアの指示に従ってコカトリスを操ることと、自分よりは未熟なルーヴァンの飛行を気にすることに集中をしている。
可哀想なのはカノープスだ。彼は以前から空飛ぶ魔獣に乗ることを嫌がっている。それはそうだ。空を飛べる鳥が、他の鳥の背に乗るなんて、想像しづらいことではないか。何もカノープスに限ったことではなく、反乱軍にいる有翼人のほとんどがそれを嫌っているのが、種族としての生理的嫌悪であることを物語っている。
それでもソニアのため、と我慢する彼は、間違いなくこの数日反乱軍で一番我慢に我慢を重ねている。それは、ソニア以上に、ソニアのために。
もちろん、彼はそれを隠すような人間ではなかったから、ソニアにはっきりと『明日は俺は何もしないからな!絶対!にだ!』と宣言をしたくらいだ。ソニアはけろりと『いいよ』と答えたが、内心では彼が本当にまったく何も仕事をしない日があるわけがない、と高をくくっている。
そんな二人を後ろに控えさえて、みなが体を冷やしすぎず、かつコカトリスが気持ちよく飛べる高度を保つガストン。
前方へもルーヴァンが操るコカトリスにも細心の注意を払いながら、手馴れたように魔獣を操っていた。
すると、突如
「ん、ガストン!」
「はい!」
コカトリスの右翼近くで静かに待機していたソニアが、鋭い声をあげた。ガストンに緊張が走る。
「少し、東に向けて高度を下げて!」
「はい!」
指示通りにコカトリスの向かう角度を調整すると、すぐにソニアは「よし!」と歯切れの良い声で止めた。
「しばらく、この方角に飛んでくれ!」
「わかりました!」
ガストンは振り向かずに片手で了解の合図を送ってから、斜め後ろに飛んでいるルーヴァンへ、腕を大きく動かして見せた。
コカトリスの方角が変わったことで、何か異変があったのかとノルン達は思うだろう。それへ、何も問題ないという合図を送ったのだ。
その様子を見て、ソニアは驚いたように声をあげた。
「へえ、ルーヴァン、合図も覚えてるのか!」
「そうですね。彼は、かなりの意地っぱりのようで」
どうやらルーヴァンは「コカトリスの操縦を覚えるならば、ビーストテイマー達が使う合図も覚えたい」と無理矢理ガストンに教わったらしい。自分に出来ないことがあると悔しいようですよ、とガストンは苦々しげにソニアに言った。
「ははは!ノーマンとどっちが意地っ張りだ?」
「似た者同士ですよ。適材適所なんだから、ルーヴァンさんは剣の訓練もっとやってればいいんですよ……まあ、役立つことを覚えてくれてるんだから、ノーマンよりはマシでしょうけど……」
実際にはそこまでの悪意はないのだろうが、ガストンにしては意地の悪い返事だ。
それもそのはず。ルーヴァンが魔獣使い達の合図を覚えるというのは、完全な越権行為だ。魔獣に乗りたい。魔獣使いが使う合図を覚えたい。だったら、魔獣の世話も覚えたらどうだ、と意地悪くガストンが思うのも仕方がない。
が、ルーヴァンに悪気があるわけではないとガストンはわかっている。
彼は彼で、トリスタンの身の上に何かがあった時、自分が空と飛ぶ魔獣を乗りこなすことでトリスタンを助けることが出来るかもしれない、と真剣に考えているのだ。
その考えはゼノビアの魔獣部隊に所属していたギルバルドに失礼なことではないかとガストンは思った。だが、ルーヴァンほどトリスタン皇子のことを妄信している人間もいないから仕方がないのかな、と呆れながらも教えたのだという。
「やる気があるのは認めるがなー」
ソニアも苦笑いをしながら呟く。ルーヴァンに関しては、ソニアも「悪い人ではないんだが」と言葉を濁さなければいけないことが過去に何度もあった。当人が真剣な分誤解を生みやすい人間であることも最近わかってきたことで、それはきっとソニアやガストンが直す手立てをどうこう出来るものではない。それゆえの、苦笑だ。
「おい!ソニア、カオスゲートみつけたのかー?」
「いや、よくわからないけど」
「よくわからないって、なんだよ!」
左翼側にいるカノープスが声を荒げる。ごう、と強い風が吹いて、お互いの声が聞き取りづらいのだ。
「カオスゲートなのかは、まだわからないってこと!」
「あー」
そのソニアの返事で、少なくともブリュンヒルドが何かを感じ取った故の方角調整だということをカノープスは理解した。
カオスゲートだとはっきりとわかれば良い。だが、もしかすると、とんでもない魔力を持った敵がいる可能性もある。
とりあえずはブリュンヒルドによる方角指示ならば、今はあまりソニアにあれこれ話さないほうが良いだろう、とカノープスは黙った。
ソニア自身もガストンとの会話を続けず、風を受けながらブリュンヒルドの反応に再び集中する。
(あまり、歓迎したくはないが……カオスゲートは、ここにあるんだろうな)
ジェミニ兄弟の自白に嘘がないことは、裏付ける情報がなくともわかっていた。
彼らにとってのラシュディは、きっと「よくわからないがエンドラ様の近くにいるいけすかないやつ」程度の認識であり、帝国軍として護るべき存在というわけではないのだろう。
だから、あんなにもあっさりラシュディについて白状したに違いない。
逆を言えば、それ以上ラシュディの情報がジェミニ兄弟には何もないとも言えるのだが。
「……ん?」
腰に装着したブリュンヒルドに手を当てたまま、ソニアは前方を見据えた。
その手の平に、ちり、と軽い痺れのような痛みのようなものが伝わる。
強い風に気をとられて僅かな反応を見逃さないように、呼吸を整えるソニア。
「……ガストン!!下降しろ!」
「は」
「完全には降りるな。場所は指示をする。下手に降りやすい場所に下りて、そこがカオスゲートだったらブリュンヒルドの力が勝手にゲートが開く可能性もある!」
「わかりました!」
コカトリスは低空飛行があまり得意ではない。不得意というより、心地よく飛べない、という意味なのだが。
もともと魔獣達は、何もかも従順に魔獣使いに従っているわけではないため、不満があればそれなりの態度を示す。実はそこが魔獣使いの手腕が発揮される場面でもあるのだが。
ガストンはともかく、ルーヴァンのまだ未熟な腕前で低空飛行を続ければ、コカトリスの機嫌も損ねるだろう。なんといっても、ルーヴァンは魔獣使いではない。コカトリス側もそれはよくわかっている。
軍に所属するような魔獣は、大方魔獣使いからの命令によって「他の人間の指示に従うように」と指示されている。
だから、どれほどにルーヴァンが訓練を重ねたとしても、魔獣使いからの口添えなしに軍の魔獣をどれもこれも扱えるわけはない。
そして、不満を抱いた魔獣の気をなだめる術が、彼にはないのだ。
「カノープスさん!すみません、ルーヴァンさんに」
「おう」
「着地地点が定まるまで、大きく弧を描いて上空で待機するように伝えてください」
そこまで細かい指示は魔獣使い達の合図では定められていない。下がるな、という合図を送ったので、きっとルーヴァンも戸惑っていることだろう。
その戸惑いが魔獣に伝わることはよくない。少しでも早く、こちらの真意を伝えるために、ここでカノープスの出番というわけだ。
「あー」
ガストンの言葉の意味を正確に理解をして、カノープスは背の翼を大きく広げた。
「いってくるわ。ソニア、俺が戻るまで、ちょっとは周囲に気を払ってくれよ」
「わかった。努力する」
大丈夫、とは言えない。ブリュンヒルドの動向が第一だからだ。
仕方がない、とばかりにカノープスはコカトリスの背から飛び立った。
そちらにまったく視線をやることもなく、かといって完全にブリュンヒルドだけに集中しているわけでもなかったのか、ソニアは
「ガストンは、いつも苦労ばっかりだ」
「誰のせいでしょうかね?」
「大体ノーマンで、大体あたしで、後は知らない」
何の躊躇なくそう告げるソニア。ガストンは、前を見たまま笑い泣きの表情を見せた。もちろん、それを見る者はどこにもいないけれど。
 
 
ほどなくして、ブリュンヒルドからの反応が薄い付近にコカトリスを着陸させ、ルーヴァン達とも合流した。
二頭のコカトリスを待機させ―万が一の時のため、ガストンも共に―トトとルーヴァンを先頭にして、一同はソニアの指示する方角に歩いていった。
やがて、ごつごつとした小さな岩が転がる平地に彼らは辿り着き、トトはぐるりとあたりを見回す。
「ソニア様、この辺りですか?」
「ああ……ちょっと、みんなは待機していてくれ。カノープスは空を警戒して」
「はいはい」
ソニアは躊躇なく一人で歩みを進める。
ラシュディ達は飛行部隊で空に向かったという。それは、カオスゲートを使わずに物理的に強引に天空都市を探しに行ったということなのか。それともカオスゲートを発見して天空都市を確認してからのことなのか。真実は、ソニア達にわかるはずがない。
が、ラシュディはきっとここにカオスゲートがあることを知っていたのではないかとソニアは予想する。
シャングリラのように移動しているならともかく、基本的に天空都市は空に静止しており、完全とはいえないがカオスゲートは空中都市と座標がそれなりに合致すると考えられている。
逆に言えば、空中都市の場所がわかれば、カオスゲートのおおよその位置は特定出来るということだ。
先日のシャングリラの件は直接空へ上っていった。それは、あくまでも異例のことだ。
女神シャルアーナが司るシャングリラには、繋がるカオスゲートの存在がなかった。それに、移動の末に高度がさがっていたから、ソニア達が操る魔獣でもなんとか辿り着くことが出来たのだ。
ラシュディ達は飛空部隊をつれて上空に向かったというが、位置もわからずに闇雲に向かっても辿り着けないだろうし、普通の魔獣、普通の有翼人では高度が高すぎて途中で諦めざるを得ないはずだ。そう思えば、なんらかの魔道の力をラシュディがほどこしていると考えるべきだろう。
そもそも下界の人間が空中都市に簡単に辿り着けるわけもないし、今の下界でそれを『許可される』のはカオスゲートをあけることが出来るソニアだけだ。ラシュディ達が飛空部隊を使っていたから、と聞いて短絡的にソニア達も空を目指すわけにはいかない。
ただ、カオスゲートの位置、天空都市の位置をラシュディが先に知られているということは、ソニア達にとってはこの上なく不快なことだ。
スルストとフェンリルのように、きっと最後の三騎士も術中にはまっているだろうし、それ以前にカオスゲートになんらかの仕掛けがしてないとも限らない。
ブリュンヒルドの力を使ってカオスゲートを開く時に、罠が作動させるとか。
ラシュディという人物の力をソニアはよくわかっていないから―残念ながら、弟弟子のサラディンですら、今のラシュディの力を把握することは出来ないようであるし―何を考えても推測の域を出ないし、その推測がいかほど当たっているのかも、誰も答えを知ることが出来ない。当人以外は。
それでも、何かがあったときに被害を減らすために、ソニアは一人でカオスゲートらしき場所に近付いた。
人々は彼女のそんな思惑を知らず、ただ、カオスゲートを探すために集中をしているのだと思っていることだろう。
「……こら!」
突如、ソニアが声を荒げる。
離れた場所にいたノルン、ルーヴァン、トトの三人がびくりと反応をし、周囲をうかがっていたカノープスも、はっとソニアを振り返る。
「勝手に、放出するな!」
「え、ソ、ソニア様……?」
動揺してトトが声をかけようとしたが、ノルンがそれを優しく制する。
「わたし達ではないようですね」
「えっ、でも」
「多分……ブリュンヒルドではないかと思うのですが」
そのノルンの言葉を肯定するために、ではないけれど、彼らよりはソニアに近い場所にいたカノープスが呑気に言う。
「あー、ブリュンヒルドのことか?びっくりした」
肩をすくめてカノープスを見るソニア。
「気を緩めると、勝手にゲートを開く。オルガナの時のようなことはごめんだ」
「あっはは、確かに。あんときゃ、びびったなー」
「力を発揮したいのは、どんな人間でも同じだし、多分道具として使われる、意志を持っている物もそうなんだろう。にしても、こんな状況で一人でカオスゲートで飛ばされちゃたまらな……っ!」
その瞬間。
まるで痺れを切らしたように、ブリュンヒルドが鞘の中で発光しだした。
僅かな隙間から漏れる光は、昼の太陽光の下では見えづらいが、近くにいるソニアとカノープスには見える。
金属製の鞘に入っていればそうはわからないだろうが、ブリュンヒルドは革製の鞘に収められていた。金属製の鞘は耐久力は高いが、刃の切れ味を損ねやすい。ブリュンヒルドはその程度のことですぐに威力を落とすものではなく、材質からして幾分特殊だったけれど、ソニアは最近革製の鞘を気に入っており―永久凍土で鞘が冷えすぎるから、と変えて以来だ―それゆえ光が漏れやすくなっている。
敵陣で隠れたい時には困るだろうな、とカノープスは内心苦笑をした。
「……とりあえず、まだいくつもりはないんだけど」
ソニアは腰からブリュンヒルドを鞘ごと外すと、両腕で抱え込んでその柄に額を軽くつけた。
まるで駄々っ子に言い聞かせをするようにそう言うと、目を軽く伏せる。
「わかってるよ。使えばいい、あたしのことを。あたしに使われているふりをして。特殊な力を持つ道具というのは、その力を発揮したくて人を導くと聞いている。お前もそうだ……アンタンジルで、ゆだねたじゃないか。だから、今日はちょっと待って。時がくればゲートを開いてもらうから。だから、今日のはフェイクだ」
その言葉をブリュンヒルドが聞き分けるかどうかはまた別だ。ただ、ソニア自身の気持ちの問題として、口に出してブリュンヒルドに語りかけることは必要なのだろう。
ソニアは意を決したように、顔をあげた。
「ブリュンヒルド!カオスゲートを!」
声を高らかにあげるソニア。
背後のノルン達にも見えるように両腕でブリュンヒルドを高く持ち上げるやいなや、鞘から引き抜いた。
それに最も驚いたのはカノープスだ。
「えっ、開かない、んだろ?」
カオスゲートを。
完全に油断していたのに、突然ソニアがカオスゲートを開く―天空都市シグルドへの空間移動の魔法陣の発動だ―そぶりを見せられてはたまったものではない。カノープスは大きく翼を羽ばたかせて後退した。
巻き込まれては、勝手に天空都市に飛ばされてしまうという焦りで、その飛行は彼にしては珍しく態勢を崩したものだったが、運よく彼を見ている者はそこにはいなかった。
ソニアが引き抜いたブリュンヒルドは、強い白い光を放つ。
と、次の瞬間、ソニアからおよそ10歩ほど離れた位置を円周の一点とした、大きな円状の魔方陣が地面に姿を見せた。
見せた、といってもそれは地上にいる者の目線では遠くからでは間違いなく見えないし、空からも近付かなければ見えないもの。地面に何か棒のようなもので描かれた線のようでもあり、黒い粉を並べて描かれたようでもある。それが、何もなかった地表に突然現れたのだ。
魔法の力で地表に描かれた魔方陣は、ブリュンヒルドに呼応する。まるで、己の形を空に刻むように白い光をまっすぐ上空へと放つ。
「あれは……!」
離れた場所からその光景を見たノルン達は、感嘆の声をあげた。
「カオスゲート、なのか!?」
中でもルーヴァンはひときわ大きく声をあげ、誰にともなく問いかけた。が、傍にいるノルンやトトがそれに答えられる立場のわけでもない。
「そ、それっぽいけど」
トトは声をつまらせながら、ようやくそう答えた。ノルンは唇を引き結んで、空に上っていく幻想的な光を見つめているだけだ。
雨や雪は、空から舞い降りてくる。
けれど、地上から何かが空へ放たれることはない。あるとすれば、煙ぐらいのものだ。
海からの日の出だって、どれほど低く見えても太陽は空に存在している。
魔獣や鳥達は飛ぶけれど、それは垂直ではない。どんなに空高くと思っても、その飛行は真上には向かず、常に斜めの線―実際は直線ではなく弧なのだろうが―を描くものだ。
けれども、彼らの目の前に伸びていく光は、まっすぐに。
陽の光がそこにあるというのに、それでも違いがわかる色―彼らの認識では「白」としか言いようがないが、もしかすると違うのかもしれない―で、己が存在を主張するように地から湧き出ている。そして、それは間違いなく空に向かって「伸びている」のだ。
そう。陽の光が空から降り注ぐ時、人はそれが空から地に向かうと知っている。
それと同じように、光の先を見ているわけではないが、その光は「地上から空へ、注がれている」のだと体感出来る不思議なものだった。
魔方陣から伸び行く光の異質さ。
それを感じ取れぬものはそこにはいなかった。
「おい、ソニア!」
ようやくわれに返ったのか、狼狽しすぎた自分を恥じつつカノープスは背後からソニアに声をかけた。
まるで、彼のその声を合図にしたように、ソニアはブリュンヒルドを鞘に収める。すると、目の前のカオスゲートの光は、すっと空に吸い込まれていくように余韻を残して消えていった。
先ほどまでの光景が幻だったのではないかと思えるほど、当たり前の景色が広がる。しかし、彼らの瞳には、空に上っていく光が焼きついてしまったようで、誰もが何度も瞬きをした。
ノルン達はようやく嘆息を漏らすが、当のソニアはけろりとしており、あまりにもいつも通りの振る舞いだ。
「大丈夫だって。開かないよ、フリだってば」
振り返ったソニアの頭を、カノープスは横から軽く拳で小突いた。
「言えよ、ちゃんとそういうこと。焦ったじゃねーか…・・・そんな芸当も出来るんだな」
「ちゃんと筋を通せば、たいていのことをブリュンヒルドはやってくれるよ。ほら、今日は……ルーヴァンにそれっぽいこと、見せといた方がいいんだろ?」
「あー、そうだったなあ」
よいしょ、と腰にブリュンヒルドを付け直すソニア。
「にしても、お前だいぶブリュンヒルドを扱えるようになったんだなぁ?さすが反乱軍リーダー様だ。もちろん、剣として、じゃあなくて……」
からかうような口調でカノープスは話し出したが、彼の声音はだんだんと明るさを潜めた。
きっと、以前ならば軽い意地悪ついでに茶化したに違いない。けれど、彼もまた、既にその時期が終わっていることを知っている。
苦笑をしながらカノープスは肩をすくめ、それ以上の言葉を引いた。ソニアも、彼に苦笑を見せる。
「うん……今まで何度も助けられてきたし、それに、こういう力をブリュンヒルドが持っていて、あたしがその力を任せられているのが嘘じゃないって、嫌ってほど体感したし……ミザールにも、相当怒られたからなあ……」
「ミザールに」
「あたしは、自分で選んで、自分の力でそうなっちゃった勇者なんだってさ。天使がくれた力を今取り上げられても、それは揺るがないんだとミザールに言われた。今まで、こういう力を使うのが嫌だったけど……あたしだけが何か特別なものであるのが嫌だったのは、誰かにそうされたからだと思ってたからだ。でも、いい加減目を覚ませって怒られた」
「フェンリルみたいだな、その言い草は」
「うん。今でもまだ、嫌なものは嫌だけど、色んな覚悟が決まった」
「……そういう顔をしてる。どっかの聖騎士とは大違いだな」
「え?」
「いーや、こっちのこと」
そういうと、カノープスはノルン達が待つ場所へと歩き出した。彼女達はソニアからの許可がなければ、その場から離れないことになっている。カオスゲートが開いていないことは雰囲気でわかるし、ソニアがブリュンヒルドを腰に戻したことから、確認作業が終わったのもきっとわかっているだろう。けれど、未知なる力の前では、どう振舞うべきなのかさすがに探りかねているに違いない。
「どっかの、聖騎士か」
ぽつりとソニアはつぶやいて、カノープスの後を追った。
もちろん、カノープスが誰のことを揶揄したのかわからないわけではない。
彼がそういう風に槍玉にあげる相手は、大体が決まっている。
(あたしは、色んな覚悟が決まったけど、ランスロットは覚悟が決まっていない、という意味か?)
ソニアは一度立ち止まって、後ろを振り向いた。
カオスゲートがある『らしい』その魔方陣が光った場所を見て、一瞬だけ表情を歪める。
「こっち側にあるのは、噂で把握していたが……裏切って欲しかったな」
そして、小さなため息。
たったそれだけで己の気持ちをリセットするかのように、ソニアはまた歩き出した。彼女には、物思いにふける時間が今は与えられない。
待っているノルン達のもとに行くと、幾分まだ呆けたような表情のルーヴァンが口を開いた。
「今のが、カオスゲートですか」
「うん」
それへ、あっさりと答えるソニア。
「そういう受け答えだから、お前はだめなんだ」
とはカノープスの意見だ。
「うるさいなぁ。カノープスがあたしの立場だったら絶対同じくせに」
「うっ……」
それは確かに。
一瞬で認めたカノープスはその以上突っ込むことをやめ、苦々しい表情を見せた。
ソニアだってわかっている。
彼女は最早慣れてしまったけれど、知らない人間が見れば先ほどの光景は日常からかけ離れたもの、いや、一生に一度あるかないかのもの。
更に言えば、あるかないかでいえば、大半の人々にとっては「ない」光景。
もちろん、ソニアだって本当は「ない」人間だったのだ。以前は。
それはともかくとして、ソニアがルーヴァンにみせつけようとしていた光景は確かに効き目があったわけで、だったらもう少しあれこれを言って格好をつければいいのに、というのがカノープスの言葉の意味だ。
他の人間だったら、どう言うんだろう。
ソニアはそう思ったけれど、うまく考え付かない。
今のがカオスゲートですか、と聞かれて、「はい、いいえ」以外の答え。
勿体ぶって何か語るべきなのか。
(多分、そういうことが出来る方が、ウォーレン好みだったんだろうなぁ……)
カノープスだってわかっているはずなのに。
そう思うといささか苛立ち、ソニアは前振りもなくカノープスの堅い胸板を、手の甲で叩いた。
「なんだよっ」
「なんでもない」
「なんでもないっちゃねーだろうが」
「見ての通り、カオスゲートは発見出来た。本陣に戻ろう」
カノープスの言葉を聞き流すと、ソニアはノルン達にそう告げた。
ルーヴァンはまだ何か言いたげだったが、彼女の言葉を受けてノルンがきっぱりと「わかりました。帰りましょう」と答えたのでタイミングを逃したのだろう。仕方なさそうに、トトと共にノルンを守るような形で歩き出す。
トトはもともと何かにつけて軽い性質なので「へえー、ありゃすごいなぁ」という感想ひとつで、それっきりあれこれ詮索する気も、ソニアを持ち上げるような発言もなく飄々としたものだ。それが、ソニアにはありがたかった。
そんな三人の後ろから歩いていくソニアの頭をカノープスは小突いて
「俺に苛立ったら、お前逃げ場なくなっちまうだろうが。苛立ったら苛立ったって言えよ」
と唇を突き出しながら言う。
「うう……」
反論出来ない、とソニアは呻いて
「いいもん、ギルんとこいくもん」
「お前、月のあれが来ちまって、いつでもケルベロスといられなくなったんだろ」
「そんなことまで知ってるの」
「お前なぁ。俺だってゼノビアの魔獣部隊の人間だぞ。それぐらいの知識があって当然だ」
もう一度カノープスに頭を小突かれて、ソニアは唇を軽く尖らせた。
「でも、おかしいと思ってなかったんだろ」
「む、それを言われると」
「いいもん、サラディンも甘やかしてくれるし」
「年寄りを心配させんじゃねーよ。爺さんじゃ空の散歩に連れて出てくれないだろう」
「カノープスは優しいな」
「おう、優しいだろうよ」
「うん」
あまりに簡単に肯定されて、いつものテンポを崩されたようにカノープスは軽く目を見開いた。
「なんだ、素直だな」
「……カノープスは……」
「うん?」
「いや、なんでもない」
言いかけた言葉を飲み込んでひらひらと軽く手を振ると、すたすたと歩いていくソニア。
その様子を見てカノープスは
(また、人と違う力を使ったからって、ナーバスになってんのかな)
と推測して、大きな手をソニアの頭に乗せた。歩きながら何度もぽんぽんと軽く叩き
「なんだ、急に元気なくなって。そんなんじゃガストンが心配するだろうが」
「そうだな」
「あいつもお前に甘い。オーロラもお前に甘い。ビクターも、ヘンドリクセンも、誰も彼もお前に甘いだろうが。俺に限ったことじゃねーだろ」
「……そうだな。みんなが、いるな」
そういってソニアはカノープスに笑顔を向けた。
少しだけ、疲れた笑み。
彼女のその表情を見て、カノープスは眉間にしわを寄せた。
何が気になるのかわからない。だが、何かおかしい。
それを、反乱軍の中では比較的長い付き合いである――今でも共にいる時間は日々誰よりも長いかもしれない――彼は感じ取った。
「お前……」
と、その時、先に歩いていたトトの甲高い声が彼らの耳に届く。
「ソニア様!左斜め方向上空!」
空を見上げたソニアとカノープスは、表情を引締めた。
トトに言われた方角に、ぽつんと二つ点が見える。その大きさは鳥のものではない。空を飛ぶ魔獣であることは、シルエットがわからなくても距離と大きさで明白だ。
それは、味方か、敵か。それとも、荷運びに魔獣を使っている商人だろうか。
一同は大急ぎでガストンが待つ場所へと走り出した。自分達が交戦する分はかまわないが、コカトリス二体とガストン一人では、二部隊を相手にするには骨が折れるだろう。
かくして、カノープスの心に差し込んだもやもやは、すっかりこのことで忘れられることとなったのだ。


その後、予想通り帝国軍との交戦の後で、彼らはまっすぐに本陣に戻った。
なぜかやたらとルーヴァンが張り切って戦って――多分、自分が一番剣の腕がたつと思っていたのだろう――存外早く蹴散らすことが出来たのはありがたいことだ。
ソニアはそれを「楽できた」と笑っていたけれど、ノルンはルーヴァンに内緒で苦笑を見せ、ソニアに「やる気があるのは良いことなのですけれど」と漏らしていた。
それは、ルーヴァンが騎士といえば騎士らしい直情型で、自分がみなを守るという意識が見えすぎるのに辟易するという意味に違いない。だが、ノルンとて彼のそこが実は長所であることをわからないわけでもないのだ。
「なんていうか、いい意味で型どおりというか」
ちなみに、これは後々にトトがソニアにぼやいた言葉だ。
「所詮俺はゼノビアの騎士じゃないからいいんですけど、共に戦おうって感じじゃないんですよねぇ」
それは、トトの実力を見下しているということではない。
ルーヴァンという人間の騎士としての意識の問題なのだとソニアは思う。
「あいつ、絶対ノーマンとそりが合わねぇよな」
と、帰還途中でカノープスはガストンとソニアに笑いながら言った。
ですねぇ、とガストン。だなぁ、とソニア。
「でも、いいことなんだ。立場をはっきりと意識してるっていうのは。そういう人間はやりやすいし、こちらも適した仕事を与えられる。ルーヴァンは自分でもそれを知っているんだよ。型通りの阿呆じゃない。皇子がこれからゼノビアを復興する際に、誰が何を担うのかがきっと問題になる。ランスロットみたいなオールラウンダーはありがたいけれど、ああいうはっきりした意識がある人間はそういう時に思いもよらない力になるもんだ。多分ウォーレンはルーヴァンに期待していると思う」
「へえ、お前、ゼノビアの人事なんて考えることあんの」
「人事なんて大したもんじゃないだろ。反乱軍が出来ていく様子を見ていての、実感だ。要するに、ビクターみたいに何事も平均以上をこなす人間はありがたいけど、ノーマンみたいなやつが重宝される場面も多いんだよなぁってこと」
「それは絶妙なたとえだな」
カノープスはげらげらと笑ったが、大きな風の音で彼の笑い声はかき消された。
さて、そんなこんなで、ソニアは本陣に戻って早速、カオスゲート発見についてを部隊長レベルの主要人物に伝え、翌日軍議を開く旨の通達を出した。
すぐに軍議を行ってもおかしくはない流れだったが、ソニアには思うところがあって軍議前の根回しの時間が必要だったのだ。
それに対する不満を口にするものは、ありがたいことに今日はいない。タイミングが良かったな、とソニアは胸をなでおろす。
人々は「きっとソニア様もお疲れなのだろう」と勘ぐってくれたし、その日の反乱軍は本陣を移動してからのちょっとした雑務があれこれとあって、誰も軍議を急く気持ちがないことも幸いした。
そういうわけで、本陣に戻ったソニアは早々に、根回しのためにウォーレンの元に足を運んだ。
どちらにしても、カオスゲートのあるなしに関してはウォーレンに報告が必要なので、おかしいことではない。部隊長達への通達は依頼したものの、ウォーレンへの報告は自分で行くから、と伝令役にも伝えてある。
向かう途中で、ウォーレンとトリスタンが今一緒にいるということを小耳に挟んだ。伝令役はトリスタンの元にも行くはずだから、既にウォーレンにも伝わっているかもしれない。もしもそうだったら、ウォーレンに伝えなくて良いとソニアが言ったことがウォーレン自身に知られているだろう。そして、それはソニアが直接行くという意味だと理解して、待っているかもしれない。
(でも、ランスロットがいるかどうかはわからない……いや、いてもいなくても……)
ソニアは早足で歩きながら、わずかに眉根を潜めた。
(今日突然決めたことじゃない。心も揺れていない。だから、今更悩む必要はない……)
足早に歩くのは、歩みを緩めればそのまま止まってしまいそうだからだ。
自分を急きたてるように、それ以上何も考えずにと思考を閉ざしてソニアは歩いた。
とにかくウォーレンのところにいってしまえば。
賽を投げてしまえば。
ソニアはウォーレンがいる部屋の前で立ち止まり、躊躇なくノックをした。
性急なノックもまた、彼女が早足でここまで来たことと同じ。一拍でもおけば、ノックをする手が止まるように思えたのだ。
「ウォーレン、ソニアだ。入ってもいいか」
「もちろん」
中から返された声音は穏やかだ。
いつもと変わらないな、とソニアは内心思い、その瞬間彼女は泣き笑いの表情を見せた。
(そう思うのは、これからその「いつも」が無くなることを自分が覚悟しているからだ)
ふ、と息を軽く吐き出して、扉を開けるソニア。
「失礼する」
中に入ると、案の定トリスタンとウォーレンが大きなテーブルに地図を広げ、その周囲に立っていた。
「お帰りソニア。カオスゲートがみつかったと聞いたよ」
最初に声をかけたのはトリスタンだ。ちらりとウォーレンを見ると、老人は言葉もなく軽くうなずいてみせた。それは、トリスタンと共に話を伝令から聞いた、という意味合いだ。
「はい。ジェミニ兄弟の話通り……コマヤグアの人々の情報通りの位置にありました」
「お疲れ様。で、明日軍議を開くんだろう?カオスゲートを使って、天空都市に行く話だよね?」
「ええ、それもあるんですが……」
「うん」
そこでソニアは言葉を止めた。
言うべきことは決まっていても、どういう話の流れで、なんと切り出そうとまでは考えていなかったからだ。
第一、そんなことを何度考えたって、自分が思うような話の流れになることなぞ、世の中そうそうあるわけもない。だからあえて、ソニアはその場の勢いで、と思っていたのだ。実際にその場になっては、やはりスムーズに言葉に出来ないものだったが。
「天空都市シグルドに行く話と……この先の進軍いついてを、両方進めなければいけないですよね。全部隊が天空都市に行くわけにもいかないですし」
「そうだね……この前の永久凍土のように、地上に残った部隊が砂漠越えの準備をすればいいのかな?」
ソニアは曖昧な笑みをトリスタンに向けてから、ウォーレンに声をかけた。
「ウォーレン」
「うむ?」
トリスタンからの問いに答えずに自分を呼んだソニアの様子に、ウォーレンはさすがに何かを感じ取ったのか、顔をしかめる。
「……長い話でもあるのかな」
年の功だな、とソニアは肩を竦めた。
トリスタンはソニアとウォーレンの交互を見て、何か言葉を発そうとしてから唇を引き結ぶ。
自分が促さなくとも話は進むのだろうし、どうやら様子がおかしい、と彼も察したのだろう。
「長く、もないと思う。ただ、今まで一度も言ってなかったことだから、ウォーレン次第では長いかな……」
「皇子、失礼ながら、このおいぼれが座ることをお許しいただけますでしょうか」
「あ、ああもちろんだ。ソニア、君も」
「いえ。このままで」
座って落ち着きたくない。両足で力を入れてまっすぐ立ったままでないと、決意が揺らぎそうだ、とソニアは思った。
それは、過去に父親から言われたことだ。
大事なことを人に話す時は、緊張感のない体勢になってはいけない、とソニアの父はよく言ったものだ。
ソファに深く座ったり、椅子の背もたれにもたれかかったり。
その体勢で大事なことを伝えようとしても、体が甘やかされてぼんやりとした声音になり、想いが伝わりづらいのだと。
そんな大げさな、と以前から思っていたし、反乱軍のリーダーという立場になってからも、何度もだらしないポーズで話を進めることはあった。けれども、今ならば父が言った意味がわかる気がする、と思う。
「ウォーレン、それから、皇子もちょうどよかった。話を一緒に聞いていただけますか」
「ああ、うん、もちろん」
「天空都市に向かった後、砂漠越えする予定に変わりはありません。でも、反乱軍全軍で砂漠を越えるつもりはありません」
「……永久凍土やアンタンジルの時のように、後から合流するという手段は取れないというのに?」
ウォーレンは然程驚いた風でもなくソニアに問いかけた。
それぐらいのことをソニアがわからないはずがない、と思っているのだろう。それは問いかけのように聞こえるけれど、単に先を促すだけの言葉だ。
「うん。後からの合流はずっとずっと先になる……帝国軍を倒したから、だなあ」
「えっ?どこの、だい?」
話が見えない、とトリスタンが声をあげる。それへ、ソニアはまじめな表情で答えた。
「すべての。女帝エンドラやラシュディ、反乱軍がその大儀を果たしてから、という意味です」
「ソニア?」
眉根を寄せるトリスタン。ウォーレンは、黙ったままソニアを見つめる。
腹を決めた、とばかりにソニアは一度呼吸を整えてから、一気にまくしたてた。
「……ウォーレン、皇子やゼノビア復興に必要な人材を連れて、この軍を離れてくれないか。この先の行軍に皇子を連れていくわけにはいかない。あたしが反乱軍リーダーである以上、反乱軍全体が、帝国軍だけではなく世界になんらかの脅威を与えるものと戦うことになるだろうから。それが、天空の三騎士がここにいる理由であり、あたしに天使が力を貸す理由だ。万が一その脅威によって皇子やゼノビア復興のための人材が失われても、あたしには責任がとれない」


 
 

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